元魔王 久々に地上にて任務を遂行する

「お疲れ様でした。よく私の修行についてこれましたね」


「本当に疲れたよ」


「そういえば、すぐに旅に出るんですか?」


「その予定だけど」


「ならこれを持っていくといいでしょう。」


 そして渡されたのは一本の刀だった


「これは?」


「これは、暗黒刀です。闇属性の力を宿した刀です。」


「そんなの貰っていいの?」


魔法剣士マジックナイトは大抵の人は属性付きの武器を持っていて当たり前ですよ」


「え、そうなの?」


「知らなかったんですか!?」


「そりゃそうでしょ!なんも知らずに勇者になったんだから」


「そんなのでよく勇者になろうとしましたね……」


「そりゃそうでしょうよ。地図にも載ってないような小さい村から王都まで行って、そこからギルドに入って、なんの知識もないまま任務をこなしてたからね」


「よくそれで勇者になろうとしたね」


「だろ?」


「自慢だと思ってるんですか?」


「Yes!」


「まぁ、そんなことはさておき、あなたは早く地上に戻ったほうがいいんじゃないですか?」


「そうだね、早くギルドに転職申請しなきゃだね」


「知ってるんですか?転職申請のやり方?」


「あ……全く知らない」


「はー簡単に説明すると、ギルドに転職申請受付所っていうのがあって、そこで申請をすれば転職できます」


「へーそうなんだ」


「早速、行ってくるんですか?」


「そうする。じゃぁまた困ったら修行してもらうために来るよ」


「そうですか。わかりました。では、また」


「また」


 そう言い残して地上に戻った





「久々の地上だーーーー!!」


 合計6ヶ月、半年である。半年の間神に修行を付けてもらった


「まず、王都のギルドに行くとするか」


 そう、まずは転職申請をするために王都のギルドに向かわなければならない


「いやー、久々にするね……マップオープン!!」


 ーー唱えた瞬間目の前にマップが現れた……んー久びさ!そうそう、最初驚いたけど、使ってない能力があった、そう、あのチート能力全知全能ゼウスだ。


「Hey!全知全能ゼウス王都に向かうための最適なルート提示して」


 ”現在地から北北東に3Km進んで東の方向に進むと最短で王都に着きます”


「OK、その通りに進んだら王都に着くんだね」


 ”はい”


 言われた通りに進んでみるとほんの30分で王都に着いた


「えーとこっからどう行ったらギルドに着くんだっけ?」


 ”南東に120歩、北に100歩と着きます”


「え、細っか。そんな細かい歩数まで言うの?」


 ”詳細に伝えるためです”


「そ、そうなんだ。ありがとう」


 また、言われた通りに進んでみると目の前にギルドが見えた


「あー久々に来たなーギルド。来るのって確か……あの任務以来か」


 あの任務。そう呪いの墓での任務である。あれから6ヶ月。あの任務のおかげ?せい?で魔王の力を取得したけど……とはいえど、6ヶ月も任務をさぼっていたからには、一日に数十件の任務をこなさないとな


「まぁ、まずは受付に行って転職申請をするか」


 ギルド内はとても騒がしかった。まるで、僕をやばいやつだっていう風に見てくる人の声で騒がしい。まあ、そうか。あの任務で僕は魔王の力を使ったという事実があるからだ……だが、騒がしい声は批判ではなく、賞賛のものばかりだった


「誰一人としてクリアできなかったあの任務をクリアした”英雄”が来たぞーー!!」


「10年前に倒されたはずの魔王の力が使えるって、勇者には不似合いだが、魔王に選ばれた奴だから、しょうがねえよな!」


 その会話を聞いて思った、選ばれたとかじゃなくて、生まれ変わり、っていうか英雄って呼ばれてたのかよ!僕がいなかった6ヶ月間にこの熱は冷めなかったのかな?普通その日から大体2週間位で冷めるよね?なんで!?そう思いつつ僕は転職申請の受付に行った


「あの、すみません。転職申請をしたいのでが、よろしいでしょうか?」


「どうぞ、どうぞ。ここまで少し騒がしいので、別室で行いましょうか」


 だよねーーさすがにここでやると騒がしくて聞こえないだろうからさすがに別室でやるよねーー


 案内されたのはまるでどっか別の国に来たような内装だった


「では、早速申請のための書類を持ってきますね」


 その言葉を聞いたときに僕はこう思った「え、持ってきてなかったの?」って


「少しお待ちください」


「わかりました」


 ~~~~~~~~5分後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「書類、持ってきましたよ」


「ありがとうございます」


「では、まず、お名前をご記入してください。その後、その他もろもろのことをご記入してください」


「は、はーい」


(手順書いてあるからそれに沿って書いてくださいって言えばいいんじゃない?)


 と、心の中で突っ込んでおいた


 ~~~~~~~~20分後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「記入終わりました」


「ありがとうございます。では、申請してきますね」


「ありがとうございます」


「では、また30分くらいお待ちください。あと、ギルドカードを提出してください」


「あ、あーあれね。ちょっと待ってください」


 ガサゴソガサゴソ


「あ、あった。あった。お願いします」


「ありがとうございます。では、また少しここでお待ちください。ロビーがとても騒がしいので」


「あははは……わかりました」


 ~~~~~~~~30分後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「お待たせしました。転職完了しました」


「ありがとうございました」


「では、ついでに次の任務を選んできください」


「あーじゃあ、これで」


「またして、難しい任務を選びますね」


「え、また……」


「何せ、この任務は約100人が派遣させました。ですが、全員行方不明となっています。おまけにこの任務は出現してまだ”6週間”しかたっていないんですよ」


「あれ?6週間……ってことは……僕が初めて魔王の力を使った時だ……」


 その事実を知ったとき、グエルは絶望した……何せ、相手は”元魔王軍最強”であり、”現魔王軍1軍大将”である、”魔剣”のバーパルソードであるから


(なんで、なんで、魔王軍の幹部がこの世界に来ているんだ?)


 心の中でグエルは絶望した……


「この任務にしますか?」


「は、はい。頑張ってきます」


「では、ご武運を」


(あー、やちゃった、選んじゃった。)


 受付の人は真実を知らないから笑顔で見送れるのだ……


 この日をもって、世界は絶望した……


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