第12話:天使の加護の下で
私は最初オットーに加えたのと同じ拷問を、クレーマー侯爵エルンスト加えました、生爪を剥ぎ、生皮を剥ぎ、肉を切り刻み、粗塩をすり込みました。
指の骨を砕き、前腕下腿の骨を砕く、次に上腕と大腿の骨を砕き、窒息死しない程度に肺に水を入れる。
エルンストは痛みと恐怖で何度も何度も気を失いました。
ですが狂気で楽にさせる気はありません。
ルシファーから与えられた力で、エルンストの正気を保たせました。
決して狂うことがないように痛みをコントロールして、治療と拷問を交互に繰り返し、オットーと同じ十日間責め苛んでやりました。
「そこまでだ、ルシファー、もうお前の好き勝手にはさせん、ラウラは余が守る!」
最初は眼を疑いました、忽然と目の前にヴォルフガング王太子殿下が現れ、私を背にかばってくださったのです。
そればかりか、私の周囲には見間違えようのない、天使の姿をした神々しい方々がおられるのです。
白翼の詩人と名乗られた天使は、美しい白い翼を持つ詩人のような存在です。
彼の言葉は響き渡り、心を打つよう詩や歌のように聞こえます。
白翼の詩人は人々に希望と魂の豊かさをもたらし、心を癒し、感動を与えるのだそうです。
静寂の回廊の守護者と名乗られた天使は、静けさと平和の象徴だそうです。
優雅に舞いながら、世界に静寂と調和をもたらすのだそうです。
静寂の回廊の守護者は、人々の心を静め、心身のバランスを取り戻し、内なる平穏を見つける手助けをしてくれるのだそうです。
光輝く知恵の導師と名乗られた天使は、知識と洞察力を象徴しているそうです。
輝く光に包まれており、深い叡智と啓示を持っているそうです。
輝く知恵の導師は、人々に知識の道を示し洞察力を与えるのだそうです。
慈愛の癒し手と名乗られた天使は、愛と癒しの力をもっているそうです。
優しい光を放ちながら、痛みや苦しみを癒し、心と体を癒すのだそうです。
慈愛の癒し手は、人々に安らぎと癒しの泉を与え、人々の傷を癒す手助けをしてくれるのだそうです。
勇気ある戦士と名乗られた天使は、勇敢さと守護の象徴だそうです。
力強く翼を広げ、闘志に燃えながら邪悪と戦うのだそうです。
勇気ある戦士は、人々に勇気と力を与え、危機に立ち向かう勇敢さを鼓舞するのだそうです。
王太子殿下は天使の方々を信じておられるようですが、私が見た魔王ルシファーと悪魔たちに比べると、明らかに弱々しいです。
「あの、王太子殿下、私は復讐のために魔王に魂を売った愚かな女です
王太子殿下に助けていただく資格などない女なのです」
「それは違うよ、ラウラ。
ラウラもルートヴィッヒ侯爵家も救えなかったのは、私や王家の力不足が原因なのだから、ラウラが気に病むことではないのだよ」
私は周囲におられる天使の方々を見回して、王太子殿下の御好意を遠慮することにしました。
私のような魂の穢れた人間を救おうとされたら、王太子殿下が天使の方々から見捨てられてしまいます。
私なんかのために、最後まで私を助けようとしてくださったヴォルフガング様が、天使から見捨てられては一大事です。
ああ、ヴォルフガング様、穢れてしまったけれど、私の魂の恋人!
どれほど辛く苦しく寂しく時にも、気にかけてくださっている、愛してくださっていると信じられた人。
そんな方をルシファーに殺させるわけにはまいりません!
天子様の加護を失わせるわけにはいかないのです!
「私の魂は穢れてしまっています。
私を庇うと天使様の加護を失ってしまいます。
そんなことになったら、ヴォルフガング様がルシファーに殺されてしまいます。
私のことは捨て置いて、ヴォルフガング様はルシファーを退治されてください!」
「大丈夫だよ、そんな心配は不要なんだよ。
そもそも魔族や魔王の跳梁跋扈を許したのは天使様の失態なのだよ。
その責任も取らず、犠牲者を罰するようなら、そんな存在は天使とは言えない。
魔族といったほうがいい存在だよ。
ここにおられるのは間違いなく天使様だ。
ラウラを見捨てるような方々ではないよ」
本当なのでしょうか、私でも救っていただけるのでしょうか?
いえ、それ以前の問題として、天使が悪魔に勝てるのでしょうか?!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます