第9話:下種の裏切りと復讐
「何をしているんだ、俺に無断で騎士や兵士を動かすなど許されんぞ!」
オットーに化けた私が使用人や騎士に勝手に動いた事を叱責します。
「ステラ、ステラ、ステラ、ステラを助けるのよ、ステラ!」
「お母様、お母様、おかあぁさまぁぁぁあ!」
どうやらステラは正気を取り戻したようですね。
母親が助けに来てくれたのが大きいのでしょう。
あんな下劣な女でも、ステラには母親ですからね。
母親が大切な事だけは分かります。
ですが、今からもっと地獄を味わってもらいます。
「ラウラに情けをかけるなど許される事ではない!
クレーマー侯爵に逆らったらどうなるのか、お前達が一番分かっているだろう!
迷惑かけた方々に詫びよ!」
「そんな、この子はステラです、ラウラではありません!
貴男も一緒に屋敷でラウラに会ったではありませんか?
まさか、ステラを捨ててラウラと手を組むきではないでしょうね?!
許しません、許しません、絶対に許しませんよ!」
「お父様、お父様、おとうさまぁぁぁぁぁ、たすけてくださいぃぃぃ!」
イザベラは何か感じ取っているんですね。
まあ、屋敷で一緒に私と会っているのです。
それなのに夫のオットーが、助けるどころか邪魔をしようとしているのですから、裏切ったと思うのは当然でしょう。
ですが私がオットーに化けているとまでは想像できないようですね。
「この女とは離婚しているので、ルートヴィッヒ侯爵家とは何の関係もない。
だからルートヴィッヒ侯爵家に責任はない」
私の言葉を聞いて、奴隷競売屋敷の者達は顔を強張らせています。
被害を保証しないために、嘘を言っていると思ったのでしょう。
本当は口汚く罵りたいのでしょうが、表立ってルートヴィッヒ侯爵に盾突くのが怖いのでしょう。
いえ、違いますね、黒幕であるクレーマー侯爵が怖いのです。
「離婚していると言っておいて、この女を連れ帰っては嘘だと思われてしまう。
我が家の使用人が壊した家財や死傷させた者達の保証には程遠いが、この女を好きにしてくれ。
歳は取っているが、最近まではルートヴィッヒ侯爵である私の正妻だった女だ。
大金を払ってでも抱きたいと言う物好きもいるだろう。
ラウラとは、なさぬ仲の義理の母娘だ。
せっかく正気を取り戻したのだから、壊さないように母娘セットで客を取らせたら、末永く稼いでくれるのではないか?
まあ、なんだ、大金を稼いでくれるラウラの正気を取り戻すために損害だったと思って、なかったことにして欲しい」
「分かりました、損害は大きいですが、これがなかったらラウラは壊れたままだったでしょうし、ルートヴィッヒ侯爵の申される通り、母娘セットなら今まで以上に稼いでくれるでしょう、なかったことにさせてもらいます」
「貴男、何を言っているの、何故なの、ねえ、嘘だと言ってぇぇぇ!」
「お父様助けてぇぇぇ!」
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