第13話 繋がっていた絆
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
昨日と同じ炭酸飲料を渡す。
私はコーヒー。
「で、呼び出したってことはさ、答えが出たってことだよね?」
飲み物を一口飲んだかと思ったら。
「いきなりかよ」
「だってそれが本題でしょ」
単刀直入すぎる。
いやまぁ、世間話をするのもおかしな話なんだけど。
「……そうだね」
もう一度コーヒーを飲んで、深呼吸。
なんとか心を落ち着かせる。
「男の人と寝て、子どもつくって。私と一緒に育てて、なんて言われて」
ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「最低だと思ったし、私の想いを知っていながら言ってるんだから、無神経だとも思った。なのに、嫌いにはなれなかった」
「うん」
微笑んで頷くゆーちゃん。
今日は俯かない。
真っ直ぐに彼女を見つめる。
「私の答えは、貴女と一緒にいる」
考えて考えて考えて。
導き出した答え。
「そっか」
おい、それだけか。
こちとら一睡もせずに――。
「『一緒に育てる』とは言ってくれないんだね」
眉をハの字にして悲しそうに笑っているように見えるのは気のせいだろうか。
「あぁ……」
私の答えは満点じゃなかった。
ゆーちゃんの中では90点ぐらいなんだろう。
「自信ないもん」
正直に向き合うって決めたから、ちゃんと言葉にする。
「子どもを育てるなんて」
まだ19歳の私たち。
大人の一歩手前な未熟者。
他の母親と同じように、立派に子育てができるだなんて思えない。
「そりゃ、私も自信ないよ」
コップを両手で包み、
「でもね、あーちゃんとだったら大丈夫だって思えるの」
ずっと支え合ってきたもん。
添えられた言葉に、胸がドクンと強く脈打った。
崩壊していたと思っていた私たちの絆。
ゆーちゃんは、違う。
積み上げてきた絆は途切れてなんかいなかった。
彼女の言葉が素直に嬉しい。
自然と口角が上がる。
私たちは窓から差し込む夏の日差しの中、微笑みあった。
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