第一回カクヨム短歌・俳句コンテスト 短歌の部

第1話 短歌徒然

『おはよう』と言えば『おはよう』がかえる　黄色い帽子　ほのぼのと

凡凡と　人込み紛れ　我歩く　意外とこれが幸せというものか

好き、嫌い、好き、嫌い、俺は何枚花びらむしれば気が済むのだろう

来（こ）し空に　お国はどこかと問いたくて　かざすは多言語翻訳機

土門拳　写真の少女は何想う　トマドイノハテノ　ゼッボウノナミダ

絶望という魔物に追われ寝覚めれば　天翔け巡るオリオンに我は頬うつ

踏まれても　踏まれても　立ち上がりしタンポポは　見事に花を咲かせおり

ちゃぶ台返しは　過去のもの？　いやいや俺は　やってしまったぞ

些細なことで　妻怒りおる　ああ、ここは民主主義の国なのか

世の中は三日見ぬ間の桜となるも　桜は常に我を振り向かず

おや、これは！　見事に短歌？　レシートに並ぶ文字の楽しさよ

寺山修司に寄せて

振り向くな　振り向くな　後ろには道がない　泣いても笑っても俺にできるはほふく前進

石川啄木に寄せて

働けど　働けど　楽にならざるも　祖国を捨てれぬ我は悲し