第5話


 「そ・・・その、夏季」

金見さんが俺に話しかける。


 「ど・・・どうしたの?」


「姫宮が許したようだから、私も許すことにした。」


「ありがとう」


「軽くない?」


「ごめん、軽かったかな」


「うん、軽いよ。凄く軽い。」


 そのつもりは無かったが、金見さんがそう言うならそうなのだろう。


 「アンタさ、前はもっと明るかったよね。」


「そうだったっけ?」


「そうだったよ。もっと顔も明るかったし、今よりうるさかった。」


 俺はうるさかったのか。痴漢以外でも前から迷惑をかけていたんだな。


 「ごめん」


「いや、なんで謝るのよ。」


「うるさかったみたいだから」


「それは悪い意味じゃなくて!」


「そうなのかな」


 でも、良い意味とは限らなそうだ。


 「私のこと怒ってないの??あんなに虐めて、陰口も言って」


「 怒ってないよ。痴漢した俺が悪いし」


「いや、そうだけど!そうじゃなかったじゃん!!」


「???」


「だってわざとじゃなかったんでしょ」


「うん」

 

「だったら、」


 「だったらなに?」


「なにって!姫宮を守る為にして、守った貴方が責められてたことだよ!!」


 それは俺も分かってる。

「そうかもね。でもいいんだよ」


「何が??」


「俺がしたことは変わらないから。起きたことに怒っただけだよ、みんなは。」


「そうだけど」



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