Phase 05 四条河原町の中心でアタシは叫ぶ
1
翌日。アタシはホンダの赤いバイクに乗って四条通を爆走していた。もちろん、ヘルメットは装着している。――確か、京都府警察本部があるのは上京区だったな。結構ややこしい場所だった気がするけど、ここからならすぐだろう。それにしても、四条通はいつも混んでるな。タクシーや市バスがよく遅延を起こしているところを見るけれども、それだけ観光客が多いという証拠なんだろうか。疫病が明けてから余計と外国人の観光客が多い気がする。ちなみに祇園祭というのは7月という期間を丸々使って行われるイベントなので、前祭の宵宮や山鉾巡行だけが祇園祭という訳ではない。この日は祇園祭の中日と言った感じだろうか。規模は小さいけれども、後祭にも宵宮と山鉾巡行が存在している。
大丸の交差点から交差点を上へ曲がって京都御所を目指してバイクは爆走する。そして丸太町通りから新町通りに入ったところでアタシはバイクを降りた。ここからは細い小路を通るのでバイクを手で押すしかない。そうしているうちに、京都府庁旧本館が見えてきた。
京都府警察本部は京都府庁旧本館の中にある。いかにもと言った感じの古い建物だ。アタシは、正面玄関で待っている飯室刑事の姿を見かけた。
「恵令奈さん、こっちです。それにしても、すごいバイクですね……」
「自分の印税で買った大事な相棒ですからね。傷つけたらただじゃ起きませんよ?」
「わ、分かってますって。それはともかく、祇園祭の殺人について新しく分かったことがあるのでまずは取調室の中に入って下さい」
「私、あの場所苦手なんですよね……」
「まあ、そうは言わずに」
こうして、アタシは取調室の中に入っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます