EP2
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堅苦しいジャケットとタイトスカートを脱いだ女の子は、ブラウス一枚と下はストッキングを履いた状態。
それは日々の働きを集約した忙しさの象徴。
「次はこれぇ……。
一番締め付けられてるぅ……。」
彼女は座ったまま腰元のパンティーストッキングのニットインの部分を掴む。
「むぃ~……。」
膝を曲げお尻で自重のバランスを取り、つま先にかけてめくりあげて行く。
―――もう、女の子なのにはしたない恰好。
「うぅ~……。
しんどい……」
一日の疲れの全てを集約しているストッキング。
むわむわに蒸れていて、めくりあげるのも一苦労。
「うぃい~……!」
”ペヤァン ボスン”
―――やっとつま先から取れたね。バランス崩して頭から倒れたけど……。布団の上だから大丈夫……だよね?
彼女は赤い布団に倒れ込む。
因みに掛布団が赤で敷布団は白色。
自分の好きなヒーローカラーなのだろう。部屋中赤や白の家具でそろえられている。
時折ピンクっぽい赤の物も混じっており、かなり女の子らしい部屋だ。
でも片づけは間に合っておらず、ちょっと散らかっている。
「はぁ……。
やぁっと解放された。」
のっそりと上半身をあげて、そのままうーたんを掴む。
「うーたん、もう足蒸れ蒸れだよぉ~……。
……ほら、……触ってみる?」
女の子はぬいぐるみを足元へ持っていく。
―――シンプルに嫌。
「……嘘だよぅ。
洗うのは僕なんだから…。」
汗だくの皮脂が付いてしまうのを敬遠する彼女。
そう言って、今度はうーたんのほっぺたに顔をうずめる。
「スー……ハァ……。
スー、ハァ……。
……うーたんいい匂い。」
―――そうだろうねぇ。ご主人様が大好きな柔軟剤で洗ってくれるからね。
「よいっ……しょ。」
女の子は、ゆっくりとベットから立ち上がった。
ブラウス一枚と、真っ白なショーツ。
ブラウスの裾でギリギリショーツが見えるか見えないかで隠れている。
―――もう、女の子なのに、はしたないなぁ……。
”トテトテ”
うーたんを掴んだまま彼女は台所へと歩き出す。
足を交互に出すたびにちらりとショーツが覗く。
辿り着いた彼女は、シンクの横にちょこんとぬいぐるみを乗せる。
もちろん濡れていないかの確認は怠らない。
―――もう……。水回りは嫌だっていつも言ってるじゃん。
「ふんふんふ~……♪。」
”ジャーッ!!”
鼻歌交じりに、小型の赤い電気ケトルに水を入れて行く。
強い勢いで水を入れるので、水飛沫がうーたんを襲う。
―――こら!ご主人様強い水!!濡れてるよ!!
「オッケー……。
良い感じー……。」
お湯が溜まったようだ。
そのままケトルを台座に乗せ、電源を入れた。
だいたい五分ほどでお湯が沸騰するだろう。
「じゃー……沸くまでは、うーたんとイチャイチャしようかなぁ……。」
そう言うと女の子は再びベットの方へ戻って行く。
―――もう。先にお風呂に入った方が良いと思うけど?
”テトテト ボスン!”
―――痛い。今足踏んだ。
掛布団に突っ伏す女の子。
「フフフ……。
やっぱり布団の上が最強だねぇ。」
うーたんの耳元で囁く。
「うーたんと、このままずぅーっと……、お布団でイチャイチャしてたいなぁ……。」
―――駄目だよ。お風呂入って来なって。どうせまた寝落ちしちゃうよ。
「じーっ……。」
うーたんをじっと見つめる女の子。
大きくてまん丸の瞳にぬいぐるみが写っている。
高くはないが小さくて形の良い鼻を少し擦った。
「うーたん。やっぱり恰好いいねぇ……。
ちっちゃい頃から、ずぅっと、僕のヒーローだ。」
女の子が少し笑って言った。
…………。
……。
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