第12話 この世に対する未練

俺、この世、ユリナちゃん達がいる世界のことな。


この世を去ってから、まだ半年過ぎたくらいならしい。


俺さ、生前、とにかく辛気臭いのが嫌でな。

「いつも明るく生きたい!」

てなのがあったんだよな。


だからさ、ユリナちゃんの所に初めて来た時になちょっと救われたんだよ。


今じゃ、元々の記憶があるからな、ユリナちゃんの事知ってるんだよ。


でも、この世を去って初めてユリナちゃんの体内に入れられた時は記憶なんてないからな

「初めまして。」だった。


見ず知らずな人の身体を通して、

今までと同じ世界が見えるんだよ。


ジャンにな「ラインできる」

なんて言われてさ。


「は? ラインはわかる。

死んだ俺がどうやってラインすんねん!」

って言ったんだよ。


そうしたらさ、

「こうやるんだ。」

って、実際にユリナちゃんのスマホを開いてさラインしてんだよ。


びっくり(@_@;)

するだろ、、そんなもん。


それでさ、俺の事をユリナちゃんに話してくれた友人にラインしたんだ。


友人とはさ、もういつからか、かわかんない程会ってなくてな。


でも、ユリナちゃんの目から友人が見えた時、嬉しかったんだよ。

「ちょっと、年齢いったなぁ

でも、変わらんなぁ。」

なんて思った。


ラインで他愛ない話したりさ、思い出話したりさ。


楽しかったんだよな。


死んだ俺がさ

またユリナちゃんの身体を借りてな


見た事がある世界がまた見えるんよ。


俺、大阪で育ってたから

ユリナちゃんが大阪にいて梅田とか

知ってる風景が見えるとさ安心したり。


俺、本音とか言わないタイプでな、

でも見ず知らずなユリナちゃんだったし、周りには全く知らんジャンとかな。


気が紛れるって言うか、

気持ちが和らぐって言うかさ。


死んだときな、自分の身体が見えたんだよ。

そんで家族とか周りの人が泣いててさ


家族の悲しむ姿見たくなくてな、

後ろ指さされるような気持ち。


「死にたくて死んだんじゃない!」

って俺の中で凄くあったから。


まだまだ、やりたい事沢山あったし、

家族の大黒柱だろ、

それ失ってこれから

どうなるか。

とか、いろいろ考えたりしてたから。


未練だらけでな。


ジャンの側で沢山初めて泣いたんだ。


見ず知らずな人だったから

沢山泣けたんだ。

有り難かった。。。


そりゃあさ、友人に頼んでな、何とかしたら、家族にユリナちゃんを会わせて、

ユリナちゃんを通して家族にメッセージとか、考えたよ。


それが出来ない事はないと思うから。


でも・・・

信じないだろなって考えた。


もしもさ、

俺が伝えて欲しいメッセージを家族か聞いてな

「こんなの、お父さんじゃない!

パパじゃない!」

なんて言われてみろ、

俺、立ち直れん!


そう、思ったんだよ。


だからさ、

家族の思い出の中で俺がいればいいや!


そう思ったんだよな。


ほんとはさ、

信じてくれてな、話とかライン使ってさできたら、めちゃくちゃ、

嬉しいよ。


でもなジャンに言われたんだよ。


「この世に未練残すとこっちに帰れなくなる。だから、程々にな。」


って。


未練があるとあの世に逝けないらしい。


成仏っていう事だな。


おいていく側、

残された側


両方に未練がタラタラにあると

成仏できんらしいからさ。


俺、ラッキーだったんだな。


見ず知らずなジャン、ユリナちゃんがいて。

そんで、久しぶりな友人がいてくれてさ。


また、今度、友人にラインしようかな・・・。。



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