自己主張つよつよシャワー

全員が 使用を終えた シャワー室 突如自動に なる蛇口かな



 今回は、「ユーレーいた」の迷言を発した身内が、履修過程で友人らと屋外アクティビティー泊で経験したこぼれ話だ。


 運河カナルカヌーという何ともシャレ乙な運動科目(と言っても一日体験のようなオマケ)が外国には存在するらしい。

 私は安定の引きこもり読書組(フリータイムは脳と体を休めるものだと認識している)だったのだが、一泊して帰ってきた身内と友人らは軒並み青ざめて、「We'll never ever go back there again(あんなとこ、二度と行かん)」と断言するので、興味本位の愚痴聞き役を買って出た。


 カヌー実習自体は楽しかったもようだ。

 問題は、それを終えて寝る前にシャワーを浴びた後、夜中に起こったという。


 三人一組のシェアルームに、バスタブのない洗面シャワールームが付いている簡易宿泊施設だったそうだが、設備が古く、蛇口はレトロな赤錆た真鍮製のひねり式だったとのことだ。

 ちなみに、すぐ湯が出なくなるのは外国あるある様式美である。

 で、しばしガールズトーク(?)に花を咲かせて誰からとなく脱落睡眠に陥っていった真夜中。

 突如、激しい流水音で全員が目を覚ましたという。


 音はシャワールームの方から聞こえてきて、全員で恐る恐る覗きに行くとシャワーヘッドから滝のように水が流れ出ていたそうだ。

 ちょろちょろ程度なら、古いし止水栓が緩いのかもと思えただろうが、ドバーッと出ているのでそうも言っていられない。


 止めないといけないから止める。

 本人は蛇口をしっかり閉めたそうだが、ベッドに戻ってしばらくすると、またシャワールームで激しい流水音が聞こえ始めたという。


 そんなことを数度繰り返して、身内とルームメイトら(私の不確かな記憶では同じく短期留学組のアメリカ人とオランダ人だったと思う)は、すっかり参ってしまい、ろくに眠れなかったそうだ。


 お国柄かもしれないが、怪奇現象にもFワードをぶつけるアメリカさんが、むしろ健気に見えたものだ。

 ぶっちゃけ、戻ってきても、こちらも不可思議な現象が起こる学生宿舎なので、ある意味お互い様のご愁傷さまなのである。

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