アハハ体験

右手ぐ ガラスケースの 市松いちまさん ふと左手と 入れ替わりをり



 母が祖母から受け継いだ古い市松人形。

 年季は入っているが可愛いお顔をした高さ二十センチ程度のこの人形、両腕が動くというカラクリ仕様らしい。

 しかし、なにぶん古いので、あえて取り出して触ることもなく専用のガラスケースに収まって母の嫁入り箪笥の上に長らく鎮座してきた。


 私も物心ついた頃から何気なく見てきたが、普段は右手を挙げている市松さんが時々気が付くと、左右の手を入れ替えて左手を挙げている光景を度々目にしてきた。

 まあ、人間には感知しない程度の微震やなんやでカラクリが動くこともあるだろう。知らんけど。


 その人形、今は私が受け継いで我が家に鎮座しているのだが、今日は両手が下がっている。そんなコトもある。

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