コメディホラー de 狂歌

古博かん

真夜中の腕立てドン

鼻先に 吐息のかかる ウシミツの 真上に浮かぶ ヤミのヒトガタ



 寝苦しさを感じた深夜。

 鼻先に、自分のタイミングではない呼気(あるいは鼻息)が当たるので目覚めてみれば、腕のリーチ一本分程度という距離感に真っ黒い人影が宙に浮かんだ状態でこちらを見下ろしている。

 天井も壁もちゃんと見えるが、真上の空間だけが等身大の人型にぽっかりと黒い。


 何せ黒いので実際のところ目鼻立ちは分からないが(息が当たるので鼻の穴か口はあるのだろう)、腕立て伏せをしている人の下に潜り込んだらこんな距離感か、と思う何もトキメかない真夜中の腕立てドン。


 とりあえず、見なかったことにして横向いて(顔面に鼻息当たるのヤだから)、布団かぶって寝る。

 朝、何事もなく起床。

 昔から、寝てるとたまに、こういう不思議なコトがある。

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