第41話

 地上に上がったらサリバンさんに今後の事は相談するか。


「今回の件はサリバンさんに相談するので秘密にしてくれ」とみんなに口止めした。


「ゴホン、それは良いのですが、そこで何で手を握っているのかなー、それとサンドラさん、危ないのに何でアランを止めに行ったのですか」とアニスが俺に言って来た。


「手は握ってほしそうにアランがしていたから、なんで止めに行ったかは私もわからない」とサンドラが小さい声で言った。


 先程、止められた時に何か言われた気がするが、なんて言われたのか憶えてない。


「そう言えば、戦っている時にサンドラさんが何か言ってたみたいですが何といったんでか」


 サンドラは下を向いてしまった、何か顔が赤い、また体調不良ですか・・・。


「大丈夫ですか」


「はい、だ、大丈夫です」と顔を真っ赤にしながら小さな声で答えた。


 ここから帰りますか、何か疲れました・・・、でも戦うのは私ですね。


 地下七階のキャンプ地まで戻って来て、次の日はそのままいつもの様に砦のオークキングを倒して、日程を消化して地上へ帰って来た。


 意外と大丈夫だな、すぐは辛かった、もっと何か精神的に落ち込むと思っていた。


 地上に帰って来ていつもの道を通って、何時もの店に寄って、いつもの焼肉屋で夕食を食べたが人の視線が気になって、少し過敏に反応してしまう、それと俺の事を「人殺し」と言ってる様で何か気持ちが悪くなって来た。


 俺の元気が無いのでみんなも元気がない、焼肉屋のおやじは「何か有ったのか」と聞いて来る。


 うるさいので焼肉屋のおやじにオークメイジの肉を出したら、肉を持って上機嫌で去って行った。


 部屋に帰って来て寝たら意外とすぐに寝れた。


 次の日、体がだるいがサリバンさんの所に来た。


「サリバンさん話聞いてもらっても良いですか」


「俺も話す事が有る」


「どんな事ですか」


「悪い話だがお前らのパーティが狙われているという情報を掴んだ、西の一番上の命令らしい」


「そうですか」


「貴重な無料情報なのにリアクションが薄いな」


「西の棟のボスって何処に住んでいるのですか」


「西棟のどこかだと思うが最近住家を変えているから、はっきりした住まいは判らないぞ」


「どうして住まいを変えたって解るのですか」


「用事が有って連絡しても、家に居ない様だ、あいつらの事だから何かのトラブルに巻き込まれて住家を変えたんだと思うが、そのトラブルの情報はまだない」


「そうですか」


「相談って何だ」


「西の棟の人に襲われました、俺たちが邪魔でサンドラが必要だったみたいです」


「もう、襲われたのか、情報が遅くてすまん」


「それで戦闘になって人を三人倒した」


「倒したった・・・・、誰が倒したんだ、ゴンかバースか」


「俺が倒しました」


「お前が倒すって、お前のスキルでは倒せないよな」


「色々秘密にしていることも有って、人を倒せる剣があります」


「誰が死んだんだ」


「西の棟のクレオだと思います、自分でレベル70って言ってました」


「西の実行部隊のクレオか、お前があいつと戦ったのか」


「そうです」


「クレオのスキルは強力だぞ、スキルを使わなかったのか」


「解りません、剣で受けたら相手の剣が砕けました」


「それは剣が壊れるほどの力って・・・岩砕剣を使ったな、魔力を消費して剣の威力を高める技だ、高レベルの魔物もそれで倒たと聞いてる」


「魔法使い以外にも魔力が使えるのですか?」


「知らなかったのか」


「はい、知りませんでした」


「ほとんどの者は魔力が有っても、魔法使い以外は使えないから知らなくても不思議は無いか」


「スキルは神の技だから、魔力は消費しないが、スキルを使う時に魔力を込めて使うと何倍もの威力になるスキルがある、岩砕剣もそれの一つだ、伊達にA級ではないからな」


「話は戻すが、スキルを使ったレベル70のクレオに勝ったんだよな」


「そんなに強く無かったですよ、剣が砕けた後に切っただけですから」


「そうか・・・・・、それで西のボスか、今は止めておけ」


「どうしてですか」


「ここの管理者の目もあるが、ボスの所に行って無関係の者達を人質に取られたらどうする、その人達が殺されてもボスを殺したいか」


「それは・・・」


「そこまでする覚悟と非情になりきれないので有れば止めておけ、こちらでお前達の安全については交渉するから、それと西の棟の連中の手伝いは危険も有るからしなくていいから」


「正式にキャリーは受けないという事で良いのですよね」


「そうなるな、それに地下10階で宿泊となればキャリー出来る日にも限りがあるから、ちょうど良かった」


「それとお前自身は大丈夫なのか」


「何がですか」


「人を殺めて何か変わった事は無いのか」


「地上に居ると人の目が気に成ります、何か言われているのじゃないかと考えてしまいます」


「お前が倒した奴らは西の実行部隊の連中で今までも黒いうわさが絶えない連中だ、気にするな、あいつらが死んで喜んでいる人の方が悲しんでいる人より何倍も多いから多くの人に感謝されていると思え」


「人を殺した事には変わりません」


「お前達が殺しに行って殺したわけでは無いよな、殺しに来たのを撃退しただけだからそれを気にするな、次に襲われた時、反撃をためらっていたら仲間の誰かが死ぬぞ」


「俺の剣は人殺しの剣で一撃で相手を殺す剣ですよ、ケガも重傷も無いんですよ」


「それでも、反撃をためらったら、誰でも簡単に死ぬ世界だから、仲間の事をいつでも、どこでも守れるのはお前しかいない」


「ダンジョンの中の方が気持ちが落ち着くのであれば、いつもの様にダンジョンに入っていつもの様にすればいい、少し休みたければ休んで気分を変えるのも良いぞ、俺のお勧めは早く地下十階に行って気分転換するのが良いと思うぞ」


「地下十階に行くと気分転換に成るのですか?」


「なるにはなるがもっと厳しい現実を知る事になるかも知れないがな」


 何もする事は無いし、地下十階へ行く事は決定事項なので問題ない、地上に居ると何故かわからないがあちらこちらから敵意を感じるので気が休まらない、ダンジョンの方が気が休まるって、精神的に参ってるのか?


 取りあえず、今回の件のについてはサリバンさんに丸投げした、今後西棟の人とは関係を持たない事をみんなに話した、秘密は継続でお願いした。


 アニスが今までよりも悪い感じがする事が多くなった、俺も誰かに見張られている感じがする、アニスはレベルが上がってもっと明確に敵意が判るようになった様だ。


 アニスとサンドラ二人で行動しても大丈夫か聞いたら「大丈夫だと思うよ」とアニスに言われ、アニスがニャッとした。


 そうなのか?と思ったが、一瞬アニスから目を離したらアニスが消えて俺の後ろに居た。


 これは油断しているクレオ位は暗殺出来たかも知れない。


「あの連中はサンドラを見ているが手出しできない、サンドラしか見ていないからね、わたしはやり放題だから負ける気はしないよ」


 サンドラは攻撃出来ないが誘拐するにはアニスが邪魔でちょっと目を話すと消えて、逆に攻撃をされたら、俺でも油断してしていたら殺されるな、間違いない、女子達は怒らせたらダメな人達だ。



 この日も焼肉を食べに行った、焼肉屋のおやじに地下十階まで行くので週一の焼きには無理そうな事を伝えた。


「今度は地下十階か、地下十階は肉の階だカウも居るしスピードバードもいるから肉を期待しているぞ、ジャイアントカウは美味してからそいつの肉は特にお願いしたい」


「美味しいのですか」


「絶対に普通のカウより美味しいが討伐はそれだけ難しいという事だ」


「そうですか・・・・、オーガキングより難しいのですか」


「ある意味、難しいかもしれないぞ」


 それは、ジャイアントカウの肉は無理ですね。


 


 





 

 

 



 





 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る