第37話 五年11か月

 地下八階でオーガが入口右側に居ない場合は左へ向かう事にした、左側にもオーガが居る事もあるが多くはブラックベアーになる。


 レベルが30前半三人と40前半二人と50前半一人なのでブラックベアー一頭だと出て来ても対処できるがまだ、複数頭は無理だ、オーガの複数頭も何とか大丈夫という感じて階段から離れての連戦も難しい。


 レベル上げを行うのが目的であれば、効率的にも剣があるオークの階の方が間違いなく経験値は稼げる。


 俺たちが無理をして地下八階で経験値を稼ぐ理由が今の所ない、レベル上げは地下七階だ。


 一日目に私達と一緒に来た人達で八階でレベル上げをする人はやはり少ない、来た日は地下七階でオーク討伐、次の日は朝からトレントとオーガと一週間か二週間続けてから帰る、一日目の午後は食料集めのオーク討伐で次の日からは経験値優先の討伐らしい。


 今日はブラックベアーか・・・。


「ゴン、突進を止めて」


 最初にゴンへ体当たりが来る、正面から向かって来るのでゴン以外では止められない。


「レイ、バース 横から攻撃」


 俺も剣の試練ため横から攻撃しますが今日も空振りだ、そのまま剣で攻撃するが岩を叩いて居る様に硬い、レイは横から脇とか関節の付け根にうまくレイピアで攻撃しているが余り効いていない、俺の剣の攻撃も余り効かない、アニスの剣もダメージが入っていない。


《大爆炎》のバースの魔法とサンドラの《ホーリーランス》は効いている、今はこの魔法攻撃でブラックベアーの動きが鈍った時にゴンがレイの《勇気100倍》で止めを刺している。


 ブラックベアー二頭目はゴンがヘイトを稼ぎ、《大爆炎》《大爆炎》《ホーリーランス》で倒している、二頭同時に出られたら難しい。


 オーガは二匹でもゴンとレイでヘイトを稼いでレイ・俺・アニスの物理攻撃でも倒せる、逆にバースの魔法は遠いと躱されて近いと俺たちを巻き込む恐れがあるので使いづらいがサンドラのホーリーシールドと組み合わせてタイミング良く使うと巻き込まれても被害が出ない。


 オーガかブラックベアーの剣を見つけても、当分は地下七階での経験値稼ぎは終わらない、地下七階から移る時は二本の剣を見つけて地下九階へ進む時だと思っている。


 最近は森の中に居てあまり移動しないトレントは戦わなくても良いと思っているのでトレントの剣探しは、必要になったらする事になりそうだ。


 地下七階の洞窟のオークキングからドロップするきんの玉を加工した丸薬は最初きんの玉だけ卸して魔石決済だったが今は丸薬の五割を現物で貰っている。


 西の資金源になっている事を聞いたからだ、塀の中では最近需要が減った事と西の連中も現物が無ければ外へは売れないからだ、それと俺たちが外に出た時に役立つ事が多いとサリバンさんが言っていた・・・。


 お前達が出る事は無いかもしれないがサンドラ達は30代で出れたら必要になると言われた・・。


 いつまでオーク狩をしているかはわからないから薬はアイテムボックスに入れれば変質もしないのでレイのアイテムボックスの中だ。


 最近、良くサリバンさんからこの薬を分けてほしいと言う要望が来る、本当はこの為に現物での保存を勧めたのか?と思ってしまう、何に使っているのだろうか。


 地下八階で難敵の21本目のブラックベアーの剣を見つけた。


 探し始めて三か月だか試した本数は100本まで至っていないと思う。


 まだオーガの剣は見つからない・・・、なんだ かんだで探し始めて9か月は経っている、その間に試した回数の少ない剣を三本見つけたので平均して見つけている日数は少ない、オーガの剣はどうしたのか見つからない、もうすぐ6年目に突入するのに。


 何事も無く、六年目に突入した、サンドラとアニスは成人になる年で多くの同年代は学校に通っているが俺たちはダンジョンに通うしかない。


 去年、サンドラの《豪運Ⅱ》をONにしていると一年間で六本の剣を見つけた、単純に考えると二か月に1本試した回数は150回位で当たっている事になる。


 これはまずいかも知れない、誰かこの事実に気が付く人が現れない事を望む、最低後三本オーガ・オーガ戦士・オーガメイジ見つければ地下10階へ行く事も可能になる。


 


 オークの階、地下七階に10か月以上居るが戦闘はオークが突進して来た時にゴン以外が止められない、それ以外は俺以外の二人で戦っても倒せるようになって来た、アニスも挑発してからオークの攻撃を躱せるようになって来た、挑発しなくても女性と意識されたら真っすぐ来る。


 レイの様に安心して視てはいられないが、アニスとサンドラの二人でオークを倒す事が出来るようになった。


 今このパーティで通常攻撃が一番低いのは俺かも知れない、俺には《千剣》があるから通常攻撃が低くても問題ない・・・・問題ないはずだ。


 いつもキャリーをしている時は余り喋らないが、仲間だけになると俺の後ろはおしゃべりパーテイになる、女子二人とレイが良くお話をしている、何もする事が無いので話しながら歩いているが他の探索者から見るとダンジョン内の光景では無いと思われている。


 俺達には警戒係のバース・魔石拾い係のレイ・護衛係のゴンが居るので二人は仕事が無い、前はレイと一緒に魔石拾いをしていたがレイのアイテムボックス収納の距離が伸びて触らなくても一定範囲の物は出し入れ出来るようになった、魔石を見つけて手を向ければ収納できる。


 これがダンジョンの毎日の生活だ、俺たちがオークの階を離れないので今年の新人も食堂でオーク肉定食を食べられる。



「サリバンさん何か面白い事有りませんか」


「地下九階に行ける様に成ったら、占いのセントリア様の所へ一度行ってくれ」


「セントリア様ってあのセントリア様ですよね」


「そうだ、今までも何回かこんな事が有ったが、地下十階に到達していないで呼ばれたのは初めてかも知れない」


「行ったら何が有るのですか」


「啓示かな」


「大雑把な未来みたいな感じで、言われた内容が判る奴と後からあの事がそうだったんだ気づく奴が居る」


「タダなんですよね」


「呼ばれていく場合は無料だ」


「オーガの剣を見つけたら行きますね、それまでは地下九階へは行かない予定です」



 今日のキャリーは西の人達だかその中にいつも見ない人が一人いる、西の地下10階以下へ行っている人達が何か緊張しているのが判る、目つきも鋭く、威圧感もある、誰なんだろう。


 俺たちが地下八階へ来ても一人だけ残って後を付いて来た、地下八階でオーガの試練を終えて帰る時も又地下七階へ一緒に戻って来たで俺たちのオーク討伐を見ていた。


 夕方になってキャンプ場へ戻るとそのまま地下六階へ向かって行った、これから帰るのか?夜に。


 ダンジョン内の仕様は判らないが、洞窟でも昼間はぼやーと明るい、所々に照明があるような暗さだが夜になるとぼぼ真っ暗になる。


 俺達も夜に成ったらライトの魔法で照明を付けて進むが階の難易度が二段くらい上がる感じがするので夜はダンジョン内を極力移動しない。


 一人で夜の地下六階を進むのは無謀と思えるがレベルが高ければ沼地でもスピードは落ちないので魔物に攻撃される前に通り抜け出来る。


 何か、今日一日俺たちを観察していたみたいで、ヌルっとした視線が気持ち悪かった。


 何回が人が変わって同じ様なことが有った、何を調べている、この頃剣は当たっていない、肉のドロップ率も20頭に一頭位の割合なのでそんなに高くないはずだ、運の調査ではないよな・・・。


 そな事が有っても毎日ダンジョンで試練をしている、地下八階の入口から左には行く人が居ない、俺達がブラックベアーを狩り、オーガの剣を試して帰って来て、地下七階でレベル上げのオークを討伐したり、オークと戦闘訓練をするのは変わらない。

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