第35話 五年三か月

 毎日・毎日オークを討伐しているとたまに大きいキノコが付いている奴も居るが最初は女性陣もキャーとか可愛い悲鳴を出していましたがが最近は何も言いません。


 オークで戦闘訓練もしていますが女性と戦闘している間にキノコが大きくなり

「粗末な物大きくしてんじゃねー」とアニスさんに言われ、キノコを切られた。


「剣が腐る」とか後から言ってましたが男性陣は何も聞かなかったふりをしてました。


「俺たちに先にトレントの剣を見つけてほしくない見たいですね」


「それはそうでしょう、あの階層で一番倒し易いのがトレントで一番経験値が多いのもトレントですからアランがトレントの剣を見つけたらどうなると思いますか」


「あの階のトレントはほぼアランが倒してしまいます」


「一番最後にトレントの剣を見つけたらどうなります?」


「次の階へ行きますよね、次の階はオーガの階なので普通のオーガを倒しながらオーガ戦士の剣を探す事になります」


「トレントを俺になるべく倒してほしくないという事ですか」


「そうなりますね」

 

 頻繁に焼肉屋には行っている、行かないとストックしている肉が減らない・・・。


 流石に毎日オークを倒して、二泊三日で帰ってくると肉が最低でも五十キロ、多いと百キロは超える美味しい方の肉は焼肉屋に卸して俺たちの取り分だけが溜って行く。


 最近は物々交換という事でカウの肉も食べているが肉を魔石にも交換してしている。


 オークの美味しい肉、特にメイジの肉がある事が知られてそれを目的に多くの人が店に来る、俺たちは食べないのにストックがあるが売れないとなっていたのだ。


 おやじに悪い事をした、バースの一件依頼、俺たちはオークメイジの肉は食べないので忘れてた。


「また焼肉ですか」


「みんな贅沢になったものだ」


「焼肉は何ですか」


「何でも良いっておやじが言ってたぞ」


「そうですね、やはりカウでしょうか」


「肉なら何でもいい」


「それではバースはウルフと」


「それは無いでしょ」


「特別を頼んでいます」


「何ですか」


「ローストビーフです」


「肉の丸焼きですか」


「肉の塊をじっくり焼いたものですね」


「食べる前に一言あります」


「何ですか、ゴンちゃんが十五歳に成りました」


「そうか俺達ももうすぐ十五歳になるんだな」


「男どもは十五歳になるのか」


「あなた達も来年にはなりますよ」


「そうですが、ここに来てから早かったですね、あと何年居るのでしょうか」


「三十歳前にはここを出たいですね」


「可能でしょか・・・・」


「私の計算が間違っていなければ後10年で二人はここを出れると思います、下の階に行くと魔物一匹一匹が強くなるので剣を探すのも命がけになると思います、付いて来れない時は言ってください」


「安全第一なんですよね」


「それでも冒険が必要な時は有ります」



「誰が十五歳になったんだ」とおやじが口を出して来た。


「ゴンちゃん」


「成人したらあすこに行かないとな」


「何処ですか」


「お姉ちゃんのいる店」


「どおしてですか」


「男として一人前になるにはあっちの事も知っておいた方が良いぞ」


「お前達の中にはまだそういう関係の者は居ないのか、居たらメイジの肉食うよな」


「女子からの視線が刺さるので退散するわ、何かあったらあっちの事も相談に来いよ、お姉さんたちもお前たちには世話になっているので良くしてくれると思うぞ」


 戦いに向いていないスキルの女性が居る店らしいが俺たちは無関係です、睨まないでくださいアニスさん。


 おやじの割り込みで波乱があった誕生パーティだったがゴンにプレゼントを忘れてた・・・、ゴンてほしい物なんだろう?これだけ一緒に居るのに知らないや。


「・・・・・」


「俺達全員が生きてここを出る事ですか、プレゼントは要らながだれも死んでほしくないですか」


「本当にそうですね、みんなで安全第一で行きましょう」



「どうして男どもは下半身の事ばかりなんでしょうか」部屋に帰って来てアニスの一言目がこれだ。


「私達はそんな事無いのに」


「ほんとうですか、アニス」


「本当ですよ・・・」


「良い人が居たらその気にも成ります、テントのお姉さま方が言っている事もわかりますが出会いがありません」


「バースとかはどうですか」


「何を基準に選んでいるのですか」


「サンドラこそ、アランとはどうなのですか」


「私はここではその様な関係になる事は出来ません、もし、子供でも出来たら家の争いの種になるかも知れません、家に勝手にそんな事は出来ません」


「そうですね、ここに居る間はここを出る事を優先して考えましょう、それまでは恋愛禁止ですね」


「恋は良いのではありませんか、その先はだめです」


「恋は良いのですか」


「はい、恋は女性の若返りの魔法だとお姉さま方も言っていましたよ」


「そうなんですか、恋は良いんですね」


 オークキングの剣を見つけてから一月も経たない内に十八本目の剣、ポイズンスネークの剣を見つけた、実際には数日分の試練で見つけてしまった。


 次はオーガとブラックアナコンダの剣探しを平行して行う・・・、周りはポイズンスネークの剣を見つけた事が判らない様にキャリーしている時はポイズンスネークとは戦わない。


 ポイズンスネークの経験値は結構高いのかも知れない・・・今まで戦った経験からオーガよりも戦いずらい、実際にゴン・レイ・バース・俺の四人がいないと戦いは安全に戦えない、毒持ちはやはり厄介だ。


 ポイズンスネークの剣を持っているとポイズンスネークの毒は効かない、ゴブリンの王冠が無くても毒は無効化される。


 試しに左手にポイズンスネークの剣を持ってポイズンフロッグど対戦したら毒は効いた、毒消しポーションをすぐ飲んだので何ともないが皆には何をしてるんだと心配させてしまった。


 これではっきりした、剣は他の魔物からの攻撃の防御にも何も効果が無い。


 ポイズンスネークは肉体を残す確率が高い、高いが毒専門店へ毎回出すわけにも行かないのでレイのアイテムボックスに死蔵されている。

 

 ブラックアナコンダの肉もドロップした・・・、これも焼肉屋行か、確かメニューにヘビ肉も有ったはずだ。


 焼肉屋のおやじにヘビ肉を出したら今はみんなオークメイジの肉があればそちらを頼むので余り出ないが食べてみるのか聞かれた。


「もしかして、オークメイジの肉と同じ様な効果ですか」


「オークメイジの下位互換品だな、鳥肉が好きなお客は食べるぞ」


「鳥肉あるんですか」


「下階に居るスピードバードの肉だ、飛ばない鳥で地上を走っている、もも肉は美味しいぞ、ヘビ肉はどちらかと言えば鳥胸肉だがな、最近は肉屋でもヘビ肉も鳥肉は滅多に見ないな」


 オーガの剣を見つけたら地下一〇階まで連れて行ってくれるというパーティは何組かある。


 地下十階まで行ったら二週間以上は帰って来ないのが普通だ、もし、移転石の事やサンドラの豪運、他にもレイのアイテムボックスか、みんなにバレたら拠点を地下一〇階に移すのも一つの解決策かも知れない、今は地道にオーガの剣と次のブラックアナコンダの剣を探すぞ。


「サリバンさん居ますか、魔石ここに置きますね」


「久しぶりだな、二泊三日の工程は変わらずか、最近はどうだ」


「なにも変わりありませんよ」


「そうか、オーク肉は大分卸しているだろう、焼肉屋が繁盛しているみたいだな」


「オーク肉の大半は食堂に行ってますよ」


「そうだったな、お前達のおかげて毎日オーク定食が食べられる」


「毎日何時に食べに行ってるんですか」


「それは定食のある時にだよ」


 食堂の管理もここでしているから定食が食べられる時間を知っている、昼間はここに居るのでいつでも良いんですね、俺達みたいな特別待遇では無いですよね。


 あーこの人知らん顔した・・・、サリバンさんの口利きで食堂にオーク肉を入れる事になったのは確かですが、その見返りですか。


「オークの階が終わったと聞いたが次の階へ行くのか」


「オーガの剣を見つけには言ってますがレベル上げはオークの階でしています」


「そうか・・・・、八階はBの経験値稼ぎの階だからなほどほどにな」


「やはりそうなんですね、トレントの剣よりオーガの剣探しの方が見つけられる事が多いとか言われましたがトレントの剣を見つけてほしくないみたいな雰囲気でした」


「あいつらにしたらそうだろう、自力でいつでもあの階へ行ってトレントを狩れるようになったらBのレベル上げは何か月か遅れるのは確実だからな」


「お前達には次の階へ行ってほしい様な、行ってもらいたくない様な感じだと思うぞ」


「どういうことですか」


「階段の砦は処理してほしいがトレントは処理して貰いたくないと思ってる」


「ブラックベアーの剣を見つければ、トレントの剣を見つけなくても先へは進めるがそれはどうするんだ」


「順番に全制覇を狙ってますが順番をどうするかは考え中です」


 そうなんだよな、降りる階段の近くにはオーガ・ブラックベアーしか居ないのでわざわざ森に入ってトレントを倒す必要は無い、オーガの剣を見つけたら次はブラックベアーの剣で終わったらそのまま壁沿いを回ってオーガの階へ行っても良い。

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