第34話 五年2か月

 地下七階でオークを相手に戦っているがオークキングの剣は見つからない、俺たちはレベル30を超えた。


 ゴンはレベル53、アニスとサンドラはレベル40を超えている七階の適正レベルは35までなのでアニスとサンドラはレベルの上がりが鈍くなってるが俺たちに比べるとまだ上がって行くスピードは速い。


 俺たちはレベル30になっても何も変わらなかった・・・次に何か起きるのはレベル50か。


 元々俺が倒しているオークの数が他のパーティの10倍以上は倒しているので経験値は他の探索者よりも多い、こままのペースで剣を見つけて下の階に行けばアニス達がレベル100になるのに後10年は掛からないはずだ、それまでが俺たち達の勝負期間だ。


 オークキングのきんの玉は毒専門店で錬金術師を紹介してもらい、丸薬に加工して貰った。


 特に黒いオークキングがドロップしたきんの玉は薬効が高く、今まで知られていたものより効果が高い特上品だった事が判明した。


 俺たちが地下七階の洞窟へオークを倒してに行っている事はみんなが知ってる。


 洞窟へ黒いオークキング探しにこの階の探索者が行っている、レベルが高く火炎系魔法の効果が弱い事は知らせているが探しに行く人は多い。


 丸薬の生成を依頼した後、色々攻略方法を試した結果、階段のオークキングを倒す、次に上流のオークキングを倒す、次に下流のオークキングを倒してから洞窟のオークキングを倒すともう一頭オークキングが出て来るが黒いのはあれから出て来ない。


 探索者はイレギュラーな徘徊している黒いオークキングが洞窟に居るものと思ってる、最後の広場でオークキングを見て普通のオークキングだと倒さないで洞窟を戻り探査していた。


 洞窟のオークキングを倒しても宝箱は出なかった、再度出て来るオークキングを倒すと宝箱が出て来る。


 階層の砦完全制覇の報酬の宝箱で間違いないが宝箱の中身が二回目以降はきんの玉しか出て来ない、ダンジョンが来る人間に忖度しているのか、俺たちは要らないぞ。


「今回もきんの玉でしたね」


「これが黄金の玉なら良いのに」


「でも価値はそれに近いもが有りますよ」


「俺たちの資産はこれで作った薬で成り立っています」


「いままで聞いて無かったけれどそんなにするの?」


「価値的には黄金の玉と同等以上ですから」


「わたしも拾うわ」


「アニス何を言っているのですか、アニスが拾ってもアニスの物にはなりませんよ」


「そうでした、拾うのは止めます」


 俺たちの資産はオーク肉が三分の一・この玉から作られる薬が三分の一・魔石が三分の一だ、地下十階以上で戦闘している者の中では今一番稼いでいるかも知れない。


 オークキングが使っている剣もドロップしているのでそれも何本か溜っている。


 地上はあと一年もするとベビーラッシュになる予定だ、良く妊婦さんを見かける。


 子供は生まれたら10歳までここに居て、ランク分けをされてレベルがMaxになったらここを出られる、ここへ帰って来る事も出来る。


 AやSになると外の世界を知らずに一生をここで送るかも知れない、ここにいるとランク分けする前から保護者とダンジョンには入れるのでランクがDだと最初から試練が終わっている事も有る。


 ここに居る親たちがAとかSで子供を持ってる年齢だと子供がBでも地下十階辺りでパワーレベリングして数年でここを出て学校へ通える。


 きんの玉は宝箱から出るが肉体を残すオークには出会わない、やはりあのとき考えた特殊条件が無いと出て来ないのかも知れない、他のオークが気が付かない程度に香る女性の臭いに反応して出て来る説が有力だ。


 女性陣に聞いたが古い匂い消しの石鹸は処分して残ってないので確かめ様がない。


 毎日オークキングを一頭は倒しているが階段のオークキングは何もドロップしない。


 オークキングを倒してから次の階へ行くべきなのか、考えている・・・。


 地下八階の適正レベルは35~40以上と言われているので俺たちは30代前半だが問題ない、確定の剣と帰還石も有るので緊急脱出も問題ない・・・何も問題なければ行くか地下八階。


 レベル上げは八階が良いって言われてたから行ってみたが駄目でした・・・効率が悪い、今オーク戦士・オークメイジも含めて出会えば倒せるので魔力探査で探して倒してるが多い日には三十頭以上倒す事がある。


 一番簡単に倒せると言われたてるトレントも俺達だと攻撃力不足で倒すのに一時間近く掛かる、ダンジョン内で移動時間を除くと一日で倒せても5匹か六匹で探索者は一番にトレントを倒すので実際は倒せるのはその半分くらいだ、みんなの負担も増える、俺たちの安全第一では無くなる。


 オーク討伐は階層に来た日洞窟の集落を、二日目に階段の集落と上流の集落で三日目に下流の集落 次に来た時に洞窟へ行っくというサイクルでオークキングの剣を試している、少し前の黒いオークキング騒動は忘れられた様に元に戻って洞窟へ行くのはまた俺達だけになった。


 とうとう五年目に突入した、今年成人となるがダンジョンでは地下10階へ行かないと大人と認めてくれない、認めないのにキャリーのお仕事や物資の運搬は押し付けられる。


 帰還石はネックレスに加工されてサンドラが付けており、帰還石の事は何回かバレそうになっているがまだバレてはいない、一度俺達より先に帰ったパーティが俺達がダンジョンの外に居るのを見られたが、俺たちが急いで帰って来たと誤魔化した。


 ダンジョンの中には魔物が多いが近道になる所が何か所かあり、普通に帰るパーティはそこを通らないので俺たちが抜かした事もわからないからそれ以上追及出来ない。


 午後なるべく早く地下七階を出て地下六階か五階でもう少しレベル上げをしてから帰って来る様にしているので今は帰還石を使っている事に気づく人は居ないはずだ。


 五年二か月でオークキングの剣を見つけた・・・、黒いオークキングはあれから出ないがこの剣で倒す事が出来るのか少し心配している。


 今年の新人は食堂にオーク定食があり幸せな者達だ、オークの階を制覇したので次の階には行くが当分はオークの階でのレベル上げが続く、早くトレントの剣を見つけたいけどあまり早すぎてもダメだから難しい。


 この頃はサンドラの豪運様も大人しく良い事も悪い事もあまり起きないがそのうち何か起きるのですかね、サンドラの豪運は今はONのままにしている。


「お前達も地下八階へ行くよな」


「剣を試しには行きますので倒しても一匹ですね」


「そうか・・試すのはトレントからするのか」


「その予定ですが」


「地下九階はオーガの階だからオーガの剣を先に探したらいいぞ」


「そうなんですか」


「ブラックベアーはこの階で一番強いからもう少しレベルが上がってからの方が良いと思うぞ」


 何のことを言っているのだろう…親切に言ってくれているのか何なんだ。


「親切にありがとうございます」とサンドラが言った。


「オーガ探しに行きますよ」


「オーガなの」


「そうオーガの方が私達は戦いやすいでしょ」


「入口近くにも居るから良いけど」


 森に入らず入口から右に回って行くとオーガがいつも居る、入口近くなので午後から来ると倒されている場合が多いがこのオーガが居ない時はトレント討伐が終わってオーガ討伐へここの階へ来ている探索者は進んでいるので俺たちは七階へ帰る。


 最初はそんな感じで来ていたが一日目は地下六階のポイズンスネークの剣を試して二日目と三日目はオーガの剣探しにしている。


 オーガはオークよりスピートが早いが魔法は効く、バースの魔法を躱すオーガが居る、先制で魔法は通用しなくなってきた。


「ゴン、盾で防御、レイはその隙に攻撃して」


 俺はレイが攻撃している間に剣を試しています、オーガは俺の攻撃がダメージが無いので無視して攻撃されている、俺は持っている普通の剣で攻撃してもあまりダメージが入らないがさすがにこちらを向くときもある。


 俺の攻撃より攻撃力が低いはずのレイの攻撃は嫌そうにしてレイを攻撃する、その攻撃を華麗に躱している、レイさんの攻撃を躱すのってギリギリなのにオーガの攻撃が当たる気がしない。


 オーガが焦れて怒って来たら横からバースの《大爆炎》とゴンちゃんの攻撃で終わる。


「今日も終わりましたので帰ります」


「オークでレベル上げですか」


「そうです」


「行きますよ」

 

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