第31話

 「助けは必要ですか」と戦っているパーティに少し遠くから聞いた。


 俺たちが声を出したのにオークはこちらに見向きもしないで戦っているパーティに向かっていく。


「助けてくれ」


 どんどんオークが寄って来ているので俺がオークの後ろからどんどん処理した、バース達も戦っているが相変わらずオーク達は寄って来る。


「あの子匂い消しをしていないのでは」


「お前達そうなのか、これ以上来たら処理が出来ないぞ、匂い消しのポーションは持って来ていないのか」


「持って来ていません」と真ん中の女の子が言った。


「レイ」


「はい、匂い消しのポーションですね」


 レイがオークを避ける様に戦っている間を抜けて女の子へポーションをかけた。


 その途端、オーク達が何かを探している様に鼻をひくひくさせている、戦闘からまだ離れた所に居たオーク達は止まって戻って行った。


 オーク達が臭いを嗅いで止まっている、囲いの一部を突破してオークの囲いからみんなを出した、その時レイが女の子を守る様に囲いから出て来た。


「初めて使ったが匂い消しポーション凄いな」


「一瞬で変わりましたよね」


「そうなんですよ、臭覚の鋭い人もこれを使うと解らないので隠密系スキル持ちの必需品です」


「そうなの」


「隠密系スキルを使っても臭いまでは消せませんから」


「ここのダンジョンの外への門番の所にも臭いで見つけるためにウルフを飼っていますから」


「ウルフって飼えるの」


「ダンジョン産ではありません、魔物でもありません」


「ダンジョンの魔物は飼えませんよ」


「ダンジョン以外の魔物は飼えるのですか」


「ダンジョン以外の魔物は《魔物使役》のスキルが有れば従える事は出来るそうです」


 いつか魔物で無くてもいいのでウルフを飼ってみたい。


 集まっていたオークを殲滅した、オークメイジも何体か居たので時間が掛かったが終わった。


「どおして、女の子は匂い消しをしていなかったんだ」


「すみません、先輩に聞いて匂い消しをしていない女の子を連れて行くと一級品のオークが出るって聞いて」


「一級品ってあの一級品だよな」


「そうです」


「誰かこの中で使うのか」


「僕たちは使いませんがもうすぐここを出らる先輩が出たら結婚するって言っているのでプレゼントしようと思って取りに来ました」


「あれって生ものだからそんなに持たないぞ」


「効き目は弱くなりますが錬金術師の人が、丸薬に加工できるそうです」


 そうなんだ、知らなかった・・・、焼肉屋のおやじは教えてくれなかったが教えて貰ったら高く売れる事がバレるので言わなかったのか?


 それとも自分も食べるために教えなかったのか、確かにそんな事だと解体などの手間賃は内臓等の等でも十分出るのかもしれない。


 危険な目に逢ったが肉体の有るオークは居なかった様だが肉はドロップしていた。


「肉のドロップはどうする」


「そちらで持って帰ってください」


「良さそうな肉が何個かあるからお前達も持って帰れよ」


「ところで肉体が残るオークが出たらどうやって持って帰る予定だったんだ」


「僕たちは一級品関係のみ切り取って帰る予定でした」


「他はどうするの」


「運べないので残していきます」


「そうか・・・、それしか無いよな」


「ここまでオークが出なくてこんな奥まで来てしまいましたが、いつもこんなに出ないのですか」


「俺達が先に居たから出なかったんだと思うぞ、俺たちは来る時に20頭以上は倒している」


 いつもまあまあな数を倒して進んでいるので通り道の近くにはオークは居ない、こいつらも俺たちが通った所を道として通って来たのだと思うから出なくて当然だ。


 匂いが無くなったので自分たちで帰れると言っていた、数体ならば大丈夫なんだろう、女の子を餌にオークを呼び集めるのは良いが、その後の事を何も考えて無い。


 そんなに出て来ないと思っていたのだろうか、前に匂いに釣られて出て来たオークは一体だった、匂い消しはしていたが消費期限切れで効果が短くなっていた物での匂い消しだった、あの時肉体の有るオークはそれに釣られて出て来たのか?これは検証出来るのか?


 アニスを見てそんな事を考えていると


「何か嫌な感じがします、アラン何を考えているのですか」


「肉体の有るオークはどうしたら近づいて来るのか考えていました」


「また、あのオークですか」


「人助けの事も有りますので少し考えています」


「テントのお姉さま方から聞いた話では下の方の階のオークキングが消える時に肉以外のゲテモノもドロップするそうです」


「肉以外のゲテモノ物」


「そうですゲテモノです」


 ゲテモノってアレだよな、今度サリバンさんに聞いてみよう。


 今日は一週間分以上のオークを討伐した、肉もとうとうメイジの肉も手に入れた、そのほかにオークの肉も討伐数の三割くらいはドロップしている。


 最近はオークの肉を毎日三食食べている、段々ウルフのくそ不味い肉が恋しくなる、食堂のおやじにはオーク肉を安く提供しているので俺達には当然オーク肉定食が毎日付く、家でも朝はオーク肉を焼いて食べている、昼はオーク肉サンドかオーク丼にしているので毎日毎回食事はオークだ。


 始めは市場の肉屋に降ろしていたがドロップする量もありどんどんアイテムボックスに溜って来たのでサリバンさんに相談したら、食堂のおやじの所で買い取ってくれる事になったが価格は市場の値段より大分安くウルフ肉と変わらないが卸している間はオーク肉定食が東の食堂でも出る事になり、当然俺たちの分は、毎日別に確保してくれる事になった。


 オーク肉定食が出始めた時は俺たちが行ってもいつも品切れで食べられなかったので交渉した結果そうなった、初めは無いはずのオーク肉定食を後から来た俺たちが食べているので苦情や文句が食堂に入った。


 食堂のおやじは「それならお前達も肉を取ってくれば作ってやる」と言っていた、その光景を見ながら何か昔同じ事を言われた気がする、俺達もそこまで来たという事だよな。


 オークメイジの肉を持って焼肉屋のおやじの所へ行く、


「また来たのか、また焼肉か」


「それの予約に来ました」


「そうかいつもの三日後だよな」


「それとオークメイジの肉がドロップしました」


「ドロップしたか」


「前回のオークのヒレは無いがあんな食感の肉に油と魔力が乗っている感じだ」


「魔力って肉に乗るものなんですか」


「乗るぞ特に一級品には」


「食べると魔力が回復するのが判るって魔法使い達は言っているぞ」


「子供も出来やすくなるんですよね」


「それもあるな・・・・」


 最後の方は何だろう。


「子供には解らない事だがアレを食べると食べた後は一級品だが、そのうちエネルギー切れで普通品になるのにうちの奴が許してくれなくて大変なんだぞ」


「少しはメイジの肉を食べると回復するから、これにも何らかの作用は有るんだろう」


「俺たちが食べても大丈夫なんですか」


「周りに女が居なければ大丈夫だろう」


「いつも居るのは知っているでしょう」


「若いからそんなに変わらないと思うぞ」


「出すのはどうする」


「メイジの肉は少しだけで後は普通のオーク戦士の肉にします」


「その方が良いかもしれんな」


「私はこの脂の濃い肉はあまり好きではありませんね、やはりオーク戦士の肉の方が美味しいです」と女子二人の意見はそんな感じだ。


「この肉を食べると魔力が溢れて来る俺は好きだと右目も同意している」とバースが言っていた。


「わたしもちょっと脂っこいのは苦手です」とレイが言うと。


「・・・・・」とゴンが言った。


 美味しいがオーク戦士の肉の方が好きだですか。


 俺は美味しいと思うがあの話を聞いたので予定の分だけ食べた、バースは食べないと言ったみんなの分も食べていた。


 夜バースがあそこの調子が変だと言って来た、一級品になったまま戻らないと言っていた、自分で発電しても戻らない・・・男を見ても戻らない・・・・。


「バースも男にも欲情するように成ったらゴリアティさんの仲間になれるな」


「わーーーー」とバースが声を上げて倒れた、立ち上がらせた時にはあそこは普通に戻っていた。


 バースの欲望よりもゴリアティさんが付けた心の傷の方が強かった。









 

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