第29話

 帰りは順調で何の問題もトラブルも起きなかった。


 サンドラ達と別れて、焼肉屋に向かった。


「また来たのか、最近良く来るな又予約か」


「いえ、別件です」


「また、オーク戦士の肉か」


「いえ、普通のオークです」


「何だ、普通のオークは市場で買えるぞ」


「あのー、聞いてほしいのですがオークの解体って出来ます」


「ドロップした肉をそのまま切れば良いだけだ」


「そういう訳ではなく一頭丸ごとの死体で有るんですが」


「オークの死体が残ったのか」


「はい、頭はあるのか、男の物はあるのか」


「解体は出来るのですか」


「解体は出来るぞ、ただし色々貰うぞ」


「何の事ですか」


「肉以外にも内臓とか頭とか食べられる所も多いからな」


「げ、肉以外を食べるのですか」


「食べたことは無いよな」


「有りませんよ」


「食べてみれば判るが好き・嫌いがあるからな珍味だぞ」


「そうですか」


「それと睾丸と陰茎は貰うからな」


「そんな物要らないです、なんでですか」


「子供が出来ない夫婦に食わすんだ」


「それって何があるんですか」


「子供が出来やすくなる」


「男が食べるのですか」


「夫婦両方が食べた方が良いみたいだ」


「一頭だと小さく刻んでも十組くらいかな?食べられるのは」


「あれを小さく刻むのですか」


「それ以外分ける方法は無いぞ」


「ウエー・・・」


「お前のを刻むわけでないんだから関係ないだろう」


「そうですね、どこに出せば良いですか」


「奥の部屋に出してもらうが、ちっょと準備するからお茶でも飲んで待ってくれ」


 奥の部屋の板敷の部屋に天井が開いて吊るす物とたらいが準備された。


「そこのシートの上に出してくれ、足を縛って吊るすから手伝ってくれ」


 手動のウインチで釣りあげた、血をたらいに受けた、


「心臓が半分駄目だな、他は良さそうだ」穴から腹を裂いて内臓を取り出しながらおやじがぶつぶつ一人ごとを言っている。


「最初に一番大事な物と睾丸を取り外してって、こいつ大きくなっているのか」


「女性に向かって行ったところを串刺しにしましたから」


「そうか、こいつは一級品だな」


「これに等級があるのですか」


「今の状態が一級品・普通の状態が二級品・欠損しているのが三級品だな、昔は良く肉体を残すオークが居て、一級品のためにわざわざパーティに女の子を入れてる所もあったくらいだ」


「今は匂い消しの石鹸も有るから、あまりこういう状態のは居ないはずだ」


「その石鹸も使っていたみたいですよ」


「それでもこの状態という事はよっぽどオークが魅力的に感じたのかも知れないな」


「あとは、石鹸に消費期限があるから切れていると効果時間が短くなるぞ」


「あれ?、いつ貰ったんだろう、俺達と合流する前だと大分経っているよな」


 解体が進んで行った。


「肉の有るオークは色々な物を食べているので腸は水で綺麗に洗うから、このたらいは調理場へ持って行ってくれ」


「後は血抜きも必要なのでしばらくはこのまま吊るしておく、本当は冷やした方が良いんだがな」


「バースは《コールド》も使えるよな」


「使えますが得意では有りません」


「弱めでいいみたいだからこいつに《コールド》を掛けてくれ」


「この部屋全体が数時間寒く成りますよ」


「それはちょうどいい時間だ」


「腸は水で綺麗に中を流すぞ」


「腸の中ってウ〇コですか」


「小腸はウ〇コの元だな、大腸になるとウ〇コだな」


「肝臓は生でも食べられるが食べてみるか」


「肉を生では食べませんよ」


「そうか今日しか食べられないぞ」


「それでも食べません」


「食べると美味しいんだがな」


「この内臓みんな食べられるのですか」


「捨てる所は無い」


「忘れてた、これは魔石だ」


「心臓の所にあったが無事だった」


「後は頭も食べられるぞ」


「私達は普通の肉だけで他は食べません」


「そうか、普通の肉と言えば、ヒレ肉も取れるので焼いて喰うとうまいぞ」


「食べたことの無い部位の肉は食べて見たいです」


「足先も食べるか」


「足先は食べません」


「食べられるのは解体後だから早くて明日かな」


「明日からまたダンジョンに入りますので三日後の夜に食べに来ても良いですか」


「それだと内臓系は一部しか食べられないぞ」


「内臓は要りませんから、そちらで処分して良いですよ」


「そうか、少しは焼いて食べる分を残しておくから」


 次にダンジョンから帰って来たら焼肉を食べに来る事になった、肉も手数料を引いて戻って来るがどの位戻って来るのだろう、おやじに話損ねたがオークサンドとオーク丼を作って貰うのとたれを分けてもらえるか聞かなかった、三日後にまたくるので良いか。


 三日後に焼肉屋にみんなでやって来た。


「ちゃんと肉は用意しているぞ」


「これがヒレ肉・ほほ肉・トロ・サガリにカルビだ」


「こっちが焼いて食べると美味い内臓の、レバー・タン・ハツ・ミノ・ホルモンだ」


「旨そうな肉とゲテモノがいっぱいですね」


「ゲテモノを食べてみると旨いのがあるぞ」


「最初に皆でひとつづつ食べてみます」


「この間の夫婦が食べる食材は完売したのですか」


「その日のうちに終わっているぞ、もう無いからほしいと言われても出ないからな、俺なんて味見しか出来なかった」と言ってニャッとした。


 おじさんなんかツヤツヤしていますよね、結婚しているんですか。


 内臓類を一通り食べてみた、レバー以外は美味しいと感じた、ホルモンは何とも言えない触感で好きだった。


 女性陣はおやじさんの一言が決めてで「レバーは女性に良い食材なんだから大人の女性は食べるべきだぞ」と言われて美味しそうに食べていた、俺は食べない。


 おやじと何を話していたのか聞かれたが答えないでおいた、そのうち女性用テントであれを食す目的を聞くだろうから俺から説明はしない。


 オークのヒレ肉は柔らかくジューシイで美味しい、オークメイジがドロップする肉に似ているとおやじは説明していた。


 一通り食べた後に肉の部位について説明してくれたが聞いても解らなかった、美味しい肉だけ名前を覚えた、今回の討伐方法は及第点だが一番良いのは一撃で首を切り落として血抜きすればもっと良いぞと言っていた。


 皮はバースが《爆炎》で使い物にならなかったがオークの毛をすべて燃やしていたのも肉処理として良いが、燃やしすぎと注意された、そんな事考えて戦っていませんから。

 

 肉は200kgほど取り分が有った、あと50kほどはオーク丼とオークサンドの分で残りの肉は手数料だと思っていた。


 手数料は俺たちが食べない部分だげで足りるそうなので残りの肉は焼肉屋にキープする事になった、いつでもこれで作りたてのオーク丼やオークサンドが食べられる。


 毎日焼肉に来ても良いそうだ、オーク丼の秘伝のたれは秘伝なので分けられないと言われたがオーク丼に追いたれ分のたれを付けてくれたので実際的には分けてくれたと同じになった。


「また、面白い肉が手に入ったら持って来いよ」


「何でも解体出来るのですか」


「食えるものならな」


「ポイズンスネークもですか」


「あれは毒蛇て食べるとピリピリしてたまらないが危険なので店には出せない、俺は解体しないぞ、商店街の毒専門の店で解体は出来るはずだ」


「食べる人は居るのですね」


「人それぞれに好き・嫌いはある、毒耐性があればあまりピリピリもしないそうだ」


「ゴブリンの王冠を付ければ食べられるのですか」


「それは間違いないかもしれないが少しもピリピリが無くなると普通のヘビ肉だからわざわざボイズンスネークを食べる意味が無い、王冠よりも食べる時は毒消しポーションを用意してから食べた方が良いぞ」


 前に、ボイズンスネークを売った商店街の毒専門店が肉にして美食家達に売っている、でも毒消しポーションを用意してまで食べるのか。


 ポイズンスネークのドロップ品は毒腺で持ち運びにはガラスの入れ物が必要なので持ってはいるがどなん感じてドロップするのかな・・・・、前回の肉体が残ったのはポイズンスネーク討伐数が少ない事が原因なのかそれとも、運か、最後は何時もこの結論になる。

 






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