第22話 四年2か月

「それともう一つ相談したい事が有ります」


「何かな」


「奥の部屋で聞いてもらえますか」


 ちよっとドキドキする、女の子に奥の部屋で二人っきりで聞いてもらい事ってあれだよな、きっとあれだよな。


 奥の部屋に付いて行った。


「ちよっと心の準備か出来ていないけど」


「心の準備はあまり必要無いと思います」


 必要無いのか、何の話だ。


「私のスキルについて話したいと思います」


「聖魔法だろう」


「別のスキルの話です」


 もう一つ持っていたのか、何だ。


「今まで隠していましたが今回の件も無関係とは思えませんので知っておいてください」


「私のもう一つのスキルは《豪運Ⅱ》です」


「《豪運Ⅱ》ってあの《豪運》ですか?」


「そうです」


「《豪運》って良い事も悪い事も引き寄せると言われているスキルで波乱万丈の人生が送れるというスキルの事ですすよね」


「その通りです、内容も良く知ってますね、私達が出会ってからの事を考えてください」


「運が絡む事って剣が一日に2本見つかった、地下三階で宝箱を見つけたくらいだよな」


「それ以外にも私達の同期のアドルフ達に絡まれたり、いつも出て来ない魔物が現れて死にそうになったり、大量の魔物と遭遇したり、穴に落ちたりしましたよね」


「ダンジョンに入って居ればある程度は起きる事ではないか」


「四人で活動していた時はどうでした」


「地下三階までだったので何も無かったが、それは地下三階までは普通だろう」


「それよりも《豪運Ⅱ》って事は《豪運》となにが違うんだ」


「任意のON OFF機能が追加されました」


「それでON をOFFするとどうなる」


「OFFにすると普通の生活です」


「ONにするとOFFの期間により運の上がり下がりが激しくなるように感じました」


「具体的には」


「一日に剣が二本見つかったり、穴に落ちたりです」


「そういう事ですか」


「ずーとONにしていたらどうなります」


「いつも近くいるアニスは危険察知が出来るように成り、小さな忘れ物や不運な事が少し増えす」


「サンドラ本人はどうなの」


「私は何も変わりません」


「普段はどうしているの」


「寝る時だけONにして、アニスに警戒して貰っています」


「段々、運のエネルギーが溜って来てOFFにしている時にもあふれ出る感じで逆に完全に使い切ると具合が悪くなります」



「それって使いたい時に使えないの」


「一定期間は出来ると思いますがOFFからONにすると強く何かが働く感じがします」


「この事をみんなに話すべきかどうか悩んでいます」


「スキルの事はこのパーティから離れる場合もあるから言わなくても良いと思うぞ」


「今までの事はダンジョンに入って居れは起きる事だ、だれも死んでいないから最悪ではないからな」


「それより悪い事の次は良い事なのか」


「それは判りません、良い事が続くと一回の悪い事がひどくなる事もありますし、その逆もあります」


「ずーとONにして運を分散して使うというのはどうだ」


「幸運は目立ちますから「運」持ちとバレル可能性はありますので避けています」


「俺としてはドカーンと悪運が来るより小さい幸運と小さい悪運が来る方が良いと思う、地下六階に到達したから周りの連中は大丈夫だと思うし、確定出来るおまけの剣が一本有るから大抵の事は乗り切れると思うぞ」


「それにすぐには「運」持ちとバレないと思うから、みんなが知った頃には地下十階には到達していれば話は変わるからな」


「地下十階に到達できる探索者に手を出すバカは少ないから、特に西棟の奴らは自分たちの存続が掛かる位の大事で無ければキャリーをしている今の俺たちには手を出して来ないと思うぞ」


 何かして来たら西のキャリーを断る、東の人達や地下10階以降に挑戦している人達は味方に付いてくれると思う。


 俺達のバックにはここの最大戦力がチラチラ見えるはずだから迂闊には手を出せない、良く理解しているなら「運」持ちに手を出して良い事は無いと思うからな。


 いつもの様に地下六階のビックフロックに剣を試しますが今日は少し違います。


「今日の剣はどれにしようかな」


「何を独り言行ってるのですか」


「当たらないと気分転換が必要だ」


「決めたのでそろそろ行くぞ、バース」


「待ってました《爆炎》・《爆炎》」


 大体二発で瀕死状態になるので剣を試してと、パシューって手応えありました、消えましたよ。


「良し、当たった、ビックフロッグの剣を見つけた」


「なんか当たったのに軽いですね」


「いつものはもっと喜びが爆発している感じがします」


「そ、そ、そうかー」


 次から次にビックフロッグが寄ってきますがどんどん倒していきます、つるつるの防御をしているはずですが全くこの剣には効果は無い。


「それでだな、ここのビックフロッグを倒せる様に成ったのでキャリーの件を地下七階入口までするという言うのはどうだ、ビックフロックは俺が倒してその後は当面戦わないでバースの右目に頼って地下七階入口まで行って出来ればオークを一頭倒してから帰って来る」


「先にオークの剣を見つけるのですか、この前は地道にとか言ってませんでしたか」


「それでも良いが、オーク肉がそこにあるんだぞ」


「そうですよね、オーク肉が有るんですよね」


 女子達も男達もあの時食べたオーク肉の事を考えると頭の中がオーク肉一色になってしまった。


「現状でもオークも一頭だと大丈夫と思うので川を渡った所で狩ってから帰るで良いかな」


「キャリーで待っている人達はどうします」


「終わるまで待ってもらうのと基本は昼食後に帰る事にする、はぐれのボイズンスネークは一緒に戦ってもらう事が条件かな」


「地下七階にお泊りするケースは有るの」


「狩れても狩れなくてもお昼ごはんを食べたら帰るのでお泊りは無い、女子二人は安全地帯でお昼の準備をしてもらい、男四人で川をを渡ってオーク狩りかな」


「一定範囲内でオークが見つければ剣の試練を試して見つけなければポイズンフロッグで試す、一度地下七階まで俺達で行って大丈夫な事を確認してから変更しよう」


 ビックフロッグの剣を探す前にサンドラに《豪運Ⅱ》をONにしてもらった、来いという感じで目に付いた番号を選んだら当たった。


 そして《豪運Ⅱ》をONにして使うためにオーク狩りを行う、肉が落ちたらそこで運は消費されるはずだ、悪運が何が来るのが心配ではあるが対処出来るだろう。


 今日はいったん帰るかこのまま行くか、幸運を使ったので悪運が来るかも知れないので帰ろう。


 お試しで一度地下七階まで行く事になった、いつもの様にキャリーしながら説明したら、地下六階は戦闘になったら戦いに参加すれば良いのであれば地下七階入口まで『深穴』の人達も付いて来る事になった。


「本当にここまで俺達戦闘なしで来たな」


「半日分ここでレベル上げ出来るのは大分時間が節約できる、早くこの階を突破しろよ」


「どうしてですか」


「レベル上げは地下八階の方が良いんだが、オーク集落を突破すると魔力が持たないので地下八階でレベル上げが出来ない」


「どうしているのですか」


「今は地下八階へレベル上げに向かう順番を決めている、オーク集落を突破するパーティと地下八階へ向かうパーティとを分けている」


「ボスは倒したら次の日までは不在になるが次の日も地下八階へ行くので毎日倒している」


「ボス戦をするためにはここに泊まり込みで来ないと無理ですか」


「そうなるな、夕方までに着いて居れば次の日のボス戦は出来るぞ」


 ボスのオークキングを倒すにはボス戦が必要かそれには泊まり込みも必要となる・・・、女子をどうするかだな、当分先の話なので何かいい案が無いか考えておくか。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る