第21話
明日帰る予定だった、A級パーティの「30の壁」の人達が急遽一緒に帰ってくれる事になった。
「済みません、ご迷惑をお掛けします」
「良いって事よ、毒消しポーションは持っているか」
「レイが持っています」
「各自三本は持って出発するぞ、それと地下六階はなるべく魔物と戦わないで行くから指示には従ってくれ」
「わかりました」
階段から出ると斥候の人が少し先を歩いている、手で止まれの合図や来いの合図を出している。
「バース魔物はどうなの」
「魔物はある一定の所まで来たら戻るみたいです」
「縄張りがあるのか?」
「よく解ったな、俺たちの使っている道は縄張りと縄張りの間を通って行くが両方の縄張りから魔物が近づいて来る場合は少し戻ったりもするからな」
「斥候の人は魔力探査が使えるのですか」
「魔力探査は使えないが、気配察知が出来る」
「魔力探査が使えるともっと正確に判別出来る」
「バースは魔力探査が使えますよ」
「ちょっと待て」
斥候の人と何か話して戻って来た。
「バース君を借りても良いか」
「バースは良いか」
「右目が必要とされているのであれば良いです」
「バース、距離と方向を判るように伝えれよ」
「わかりました」
バースが斥候の人の所へ行った、バースが手で方向を差して距離を教えている。
もう少しで階段という所でビックフロッグが居て避けて通れない、数匹討伐して走り抜ける事になった。
バースが喜んで《爆炎》を連射している、それを『30の壁』の魔法使いが見て黙った。
「今だ走るぞ」
沼地で走りずらいが急いで走って階段に到着した。
「ありがとうございました」
「俺たちは何か何もしていない様な気がするがな」
「地下六階の通り方は勉強になりました」
「資料で見るのと実際に行うのとでは大分違いますから、それにバースに何か色々と教えてもらったみたいで、ありがとうございます」
「お前達ならすぐに地下七階に来られると思うが来ないのか」
「地下六階の剣探しとレベルをもう少し上げてから地下七階に行きます」
「そうか、楽しみにしているぞ」
「ここからはお前達が先頭で良いんだよな」
「大丈夫です」
地下五階を進み地下四階への階段手前まで帰って来た。
「ウー」という声と共に突進して来たゴンに弾き飛ばされた。
「痛いよゴンちゃん」
「アニスとサンドラも来たよ」と声が聞こえた。
「ゴンちゃん、ちゃんと護衛しないとダメですよ」
「・・・・」
「わかったから、離れて、あまり力を入れると骨折れるから」
「み、みなさなん、ご無事でなによりです」
「あいっらは殺しても死なないって言ってただろう」
言いながら二人とも涙が流れている。
「詳しい話はレイに聞いてくれ、地上に戻るぞ」
「感動の再開なのに、何流しているんですか」
「世話人った『30の壁』の人達も居るから、戻りながらレイに聞いてくれ」
しめっぼくなりそうなのでダンジョンを出てから話そう、緊急時の対応を話し合っておいて良かった。
ダンジョンでは何が起こるか解らないので、行方不明者が出た場合簡単に探せない時は一度地上に戻ってサリバンさんへ相談する事になっている、最悪は行方不明者は戻れたが、探しに行ったメンバーが帰ってこない事だ。
「注意不足だった、反省している」
「そうです十分反省してください、サンドラは本当に心配していたのですよ」
「わかったって、言ってるだろう」
「晩飯、食べ損ねたしどうする」
「アニスはお腹が空いているから怒りが収まらないのですよ」
「そうか、そうかも知れない」
「オーク肉しか無いが食べるか」
「オーク肉ですか・・・・どうしたのですか」
「オークを倒した時にドロップした」
「食べてから話の続きをしましよう」
「オーク肉のステーキですね」
俺達の部屋にアニスとサンドラが来た。
「この部屋で調理できるのですか、台所に何も有りませんよ」
「レイさんが居ますから」
「それでは調理道具一式を出します」
レイがアイテムボックスが調理道具のフライパン・コンロ・皿にナイフとフォークなどの食器も出した。
「魔道具コンロまであるのですか」
何でもは入ってるアイテムボックスです。
「食った食った、お腹いっぱい」
「話って何ですか」
「今日地下六階の通り方を教えてもらったが地下七階へ行く事は出来るが俺としては剣探しをこのまま続けたいと思っているがそれで良いかどうかだ」
「オークと戦った感想はどうです」
「俺達は力不足、ゴンは大丈夫だと思う」
「地道に力を蓄えてから行った方が良いと思うが地下七階の方がレベルは上がる」
「今は地下六階ですべき事を終わらせてから進むべきだと思います」
「私はサンドラと一緒に行ければどちらでも良い」
「俺もどっでも良い」
「・・・・・」
「ゴンちゃんもどちらでも良いって」
「地下六階で地道に活動するという事で決定です」
「サンドラ様、あいつらのためにあんなに心配してなくても良かったのでは有りませんか」
「私は決心しました」
「何をですか」
「私の《豪運Ⅱ》について明かす覚悟です」
「ちょっと待ってください、それは駄目です」
「全員に明かすのは待ってください、特にバースには明かさない方が良いと思います」
「どうしてですか」
「あいつは口が軽い」
「秘密を明かすのであればリーダーのアランだけにしてください」
「どうしてもですか?」
「どうしてもです」
「明日、お休みでまた資料室へ行きますよね」
「行きますよ」
「その時アランにだけお話してはどうですか、そしてみんなに知らせるべきかも相談なされてください」
「わかりました、そうします」
今日は俺達の休みの日で各自それぞれの事をしている、俺は大体資料室で魔物と各階層の特徴とか攻略方法とかを調べている。
最近は良くサンドラが付いて来る、サンドラも何かの資料を探している様だが、何の資料を探しているのかははっきりは知らない。
地下六階はやはり魔物が入口から出口まで一種類ずつある程度の広さの縄張りを持っていてそこに入って来た者を攻撃する、その縄張りの魔物が死んだら新しい魔物が生まれるまでは空白地帯となる場合と他からそこの縄張りを占拠する魔物が来る場合が有り同種の魔物の中にも序列がある様だ。
同じ種類の魔物でも毒の種類は強さによって変わる場合が有るが毒消し(中)のポーションで対応可能と。
この階にもイレギラーな存在は居て、縄張りを持たないボイズンスネークの強い個体が居るがレベルが30以上の6人パーテイであれば対処可能となっている。
ここの資料も、年代により少しづつ違うが大きな変化は無い様だ、それと俺達が落ちた穴は最近出来たのか、過去の資料には穴の記述が無かった。
俺達が最初の報告者で最初の被害者でもある、もう少しあの地下の川の水位が高かったら流された洞窟の中に空気が無かったら、選択を左にしたらと考えた。
もう少し滝から落ちる位置が悪かったら死んでいた、滝から落ちてオーク集落側にバラバラに流れ着いたらアウトだった事も考えられた、良く助かったものだと思う。
俺たちは運が良いのか悪いのかどちらなんだろう。
「サンドラはいつもなんの資料を探しているの」
「私のスキルについてもっと良く知るために資料を探しています」
「そうなんだ、聖魔法使いってあまり居ないよな」
「そうなんです、実際に使っている先輩が居ないので困っています」
「サリバンさんには聞いてみたの」
「聞いてみましたが、余り地上へ帰ってこない人で会えていません」
「何年も帰って来ないのか」
「そうみたいです、地下十階の基地に居る回復職の人ですが帰りたくないのか帰れない事情があるのかはわかりません」
「資料を調べて判った事は有るのか」
「やはりレベルとスキルの熟練度で別のスキルが発生する様です」
「地上の治療院でスキルを使った方が良いのか、下で魔物討伐してレベルを上げた方が良いのか迷うよな」
「それで地下十階から帰って来ないという結論かも知れない」
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