第12話
地下三階に帰って来た、四人がやる気を出してコボルトと戦うと言ってるが大丈夫か、ウルフよりコボルトの方が弱い、大丈夫と思いますがここが動きに制限のある洞窟型だという事を考えてますかね。
「《爆炎》」掠った、コボルトがバースに向かって行く。
レイが前に出る、コボルトを右に躱して攻撃した、コボルトはレイに向いて居るがアニスが攻撃しない、レイが再度攻撃する、ここでアニスの攻撃、これで倒したが、後ろから次のコボルトが・・・。
コボルトの面倒な処は近くに数匹いるという事だ、一匹倒しても次から次に戦闘音に集まって来る。
バースも魔力切れですか? 後はいつもの様に俺が倒すか。
「バース、大丈夫か」
「気持ち悪い」
「魔力切れだな」
「前にも魔力切れになった事あったろう、帰りは魔法を使わないと思ってたのに魔法を使うからだ」
「右目が大丈夫と言っていた」
「その右目壊れているので修理が必要ではないか」
「修理するの」とサンドラが聞いて来た。
「そうそう、修理すの、目球を取り出して修理して又入れるのその
「わかりました」
ノリが良いなサンドラさん調子いいのか。
「よし、帰ったら右目の修理だ」
「やめてください、どこも壊れていませんので修理は不要です」
「右目の言う事を聞かなかった僕が悪いんです」
「アニス、いまのコボルトとの戦闘はどうだった」
「洞窟が思っていたより狭くて、剣を振り回してる近くを通ることが出来ず、うまくコボルトに回り込めなかった」
「平原と洞窟では使えるスペースが違う事とコボルトは次々来るからそれの対策も必要だと思いました」
「その点はウルフ達も同じで次々に来る、集団で来た時には対処出来ないです」
女性陣は優秀だな、男性陣からの意見は無いのか。
「レベルが上がり攻撃力が高くなれば問題も解決すると思うが、俺たちはレベルの上がるスピードが遅いからそれを待っていたらレベル上げに時間が掛かり過ぎる、当面はどんな一匹と戦ってもケガしない様にするのが先決だな」
二階のゴブリンを倒しながら俺が先頭で地上まで帰って来た。
「今日は疲れた」
「いつもは疲れないって言ってなかったですか」
「お前たちの戦いを見ているのが、疲れてる原因だぞ」
「そうなんですか」
「バースは別の意味で疲れたと思うぞ」
「バースは魔法の使い過ぎですね」
「久々に遅い時間まで入っていたので、晩飯食って帰るか」
「私達は着替えに帰ります」
「そうか、俺たちはどうする」
「着替えてさっぱりしてから食事の方が良いです」
「そうか?」
「大分体を動かしたので体を洗いたいですね」
女子はそうだよな。
「一旦宿舎に帰ってから集合にするか」
「そうしましょ、一時間後ね」
「そんなに時間掛かるの」
「これでも急いでますが何か」とアニスに言われた。
「いえ、一時間後で」
危なかった、やはり忍者で無く、暗殺者だよな。
「アニス、少し怖かったですよ」
「良いんです、無神経な男どもにはちょうど良かったと思いますよ、サンドラ様」
「アニス、呼び捨てで良いですよ」
「いえ、サンドラ様に仕えると決めています、みんなの前ではいつもの様にしますのでお願いします」
「わかりました、アニスよろしくお願いしますね」
「はい、サンドラ様」
「体を拭くだけに成ります、お着物を脱いでください」
「じゃー、拭きっこですね」
「髪が燃えなくて良かったですね」
「バースのバカは何を考えてあのタイミングで撃ったんですかね、何回も魔物がサンドラ様のシールドに当たって弾かれたタイミングで今まで撃っていたのに、どうして本当にあのタイミングたったのでしょう」
「私が先に声を出してシールドと言えば良かったのですかね」
「そんなことはありません、シールドの出すタイミングも良かったです、そのままシールドにブラックウルフは激突したと思いますよ」
「四人の時に誰が指揮すべきなのでしょうか」
「一般的には後衛職の魔法使いか回復役ですかね」
「サンドラ様が適任ですが・・・」
「私が指揮するとスキルが発動するかも知れないので本当に危険な時以外はしたくありません、まだ私達の秘密を守れるようになっていません」
「そうですね、このパーティに来た理由もそこですから」
「安全第一・危険が無い、楽園パーテイですか」
「そうです」
「女どもは何をしているのだ、右目の感じでは準備は終わっているのに出て来ない」
「覗きは駄目ですよ」
「実際、右目の魔力感知でどの位見えるんだ」
「近くだと形も判るが遠くだと魔力の色が判るかな」
「魔力の色って何だ」
「魔物の種類によって色が少し違うかなくらいの事」
「ダンジョンは壁が有ると壁に魔力があるのでその先は難しいが移動する物は感知し易いよ」
「地上だとどうなんだ」
「魔道具とか魔力を使っている物以外は邪魔にならないが魔鋼製の物など魔力の通り抜けづらい物の先は見えないかな」
「地上だと魔鋼製の眼帯して見ない様にしているのは、移動する物が多いので頭が痛くなるから」
「飯は食堂で良いよな」
「そうですね、特別な事もありませんでしたので、それで良いと思います」
「今日も一日ウルフ肉ですか」
「そうなるな、今日最後のウルフとの対決だ、食ってやる」
「別な物食べないのですか」
「仕方ないだろう、ここの肉はウルフしか無いんだから」
「野菜炒め定食とかはどうですか」
「あれに入っているのもウルフ肉だぞ、俺達は肉の量が多い肉炒め定食だな」
皆がそろったので食堂へ向かった。
「そっちが野菜炒め定食でこっちが肉炒め定食だよな、ここに大盛りは無かったはずだ」
野菜炒め定食も肉炒め定食も一緒の物で野菜炒め定食の方が野菜が追加されていた、肉炒め定食には肉の追加は無かった。
「おやじこれは変じゃないか」
「分けているのは野菜を余す奴らが多いからだ、野菜を残さないなら野菜炒め定食にすれ」
「大変良く解りました」
毎日食べているのに知らなかった、野菜炒め定食の方が量が多いとは・・・。
色々試して肉が増量されている物を探さなければ。
「魔石ここに置きますね」
「おー、ありがとう」
「最近変わったことは無いか」
「別に有りませんよ」
「そうか、地下四階で戦闘訓練しているって話じゃないか」
「俺は相変わらずで、パーテイメンバーは戦闘技術と対応力の底上げですよ」
「段々魔物も強くなってきたのでゴンと俺がやられた時に、後の四人が逃げられる様に戦闘訓練しています」
「結果はどうなんだ」
「四階はもう問題なく一匹だったら対処できます」
「数か多いと足の速さもあるので、奥まで行っていると逃げ切るのは難しいかもしれません」
「まだレベルが足りて無いという事か」
「そうですね、それも有ります」
「逃げるにしても、女の子二人だけで逃げる方が逃げて生還する可能性は高くなりますね」
「そうなのか」
「二人のスキルと魔法を使えば可能ですね」
「バースのレベルが上がってもっと破壊力のある魔法を使える様になるか、防御系のウォールの魔法を使えるようになると状況は変わると思います」
「何と言ってもレベルか」
「剣も見つからないので地道に四階で修行しますよ」
「そうだな、それが最初の壁かもしれないがその壁もお前達にはお前の剣があるから他と随分違うからな」
「安全第一でやっていますよ」
「お前達が一番安全にダンジョンを攻略しているのかも知れないな」
「そんな事は無いでしょ」
「地下四階まで行く連中の中ではだけどな」
「最前線はどうなっているのですか」
「最前線は12階で停滞している」
「そうですか」
「集落が有って沼地での戦いは中々面倒らしいぞ」
「沼地もあるのですか」
「あるぞ、森林も山もな」
「四階の平原だけでも凄いと思っていましたが色々あるんですね」
「下に行くほど広く成ったり特殊に成ったりするからな」
「資料室に11階以降の資料が無いのですがどうしてです」
「11階以降の資料は別室で管理されている、10階まで行けたら入れるぞ」
「そうなんですか知りませんでした」
「わざと知らせて無いからな」
「なぜ何ですか」
「ダンジョンが絶望させないためと言われている」
「ダンジョンがって・・、何が書いてあるんですか」
「それは自分で見て確かめるしかない」
「情報料はいくらですか」
「これは知っている者は知っているが、言えないだけだ」
「誰が言ったか解らないじゃないですか」
「そんな事は無いぞ、ダンジョンの不思議だ」
「自白させるスキルですか」
「ちょっと違うかな」
答えがちぐはぐだが何か変だ、今は必要無いから良いか。
「食堂で一番肉の多い定食は何ですか」
「魔石1Gだがいつも魔石寄付しに来てくれているのでサービスで教えてやる」
「日替わり定食だ」
「日替わり定食ですか」
「そうだ日替わり定食だ、日替わり定食ってどうやって決めるか解っているか」
「わかりません」
「前日の食材の残り具合とおやじの気分で決まる」
「どういう事ですか」
「前日肉が多く余っていると日替わり定食は肉中心となり肉の量が多く成るぞ」
「おやじの気分は」
「気分が良いと多く盛ってくれる」
「本当ですか」
「今までの地道な調査の結果だ、間違いない、ただし日替わり定食なので前日同じ量の肉とは限らないし、肉無しもある」
「それって賭けってことですか」
「そういう事だ」
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