第9話

 ホーンウルフはゴンに体を盾で押されて攻撃目標が擦れた、バースが《爆炎》を撃ち込んだ、いつもの連携だ。


 ホーンウルフは《爆炎》を躱した、最初の《爆炎》も躱したが今回は体勢が崩れていたのに躱してバースに<突撃>して来た、ギリギリ俺の盾が間に合ったが角で俺は盾ごと吹っ飛ばされて麻痺する。


 最後に見たのは炎が立ち上がる様子だった。


「おい、大丈夫か」


「カィルザルしゃん、し しびれは有りますが大丈夫です」


「俺はカイザルだぞまだ痺れているのか」


「皆はどうなりました」


「他はみんな無事だぞ」


「俺たちが下へ行くのにこの階に下りて来たら、サンドラたちが『助けてー』て走って来てギリギリだった、セイネの魔法が無かったら遅かったかも知れなかったぞ、何でここまで来た」


「すみません、本当に助かりました」


「反省すれ、それとサンドラ達をお前たちに預けているのだからしっかり守れよ」


「わかりました、出来る限り頑張ります」


「出来る限りでなく、命に代えてもだぞ」


「解っています、今回も彼女達は逃がしました」


「そうだな、その事はよくやったがここまで来たのは思慮が足りないしレベルも足りてないぞ」


「わかりました、もう一度良く皆と相談します」


「お前たちで上へ戻れるな、俺たちは先に進むが無謀な事はするなよ」


「わかりました」


 地下四階階段の壁の所まで戻って来た。


「ウルフが近づいて来るのは判っていたが言うのが遅くなってごめん」


「嫌な感じがしたのに言わなくてごめんなさい」


「俺もついつい奥までみんなを連れて行ってごめん」


「・・・・」


「お前は何も悪くないぞ」


「魔法を撃つタイミングが悪くてごめん」


「私はもっと警戒するべきだと注意出来なくてごめんなさい」


「どうしたら良いと思う」


「やはりここから離れて帰って来れないのは良くないのでこの近くで活動しましょう」


「それもあるが、今回の事は知っていたのに対策していなかったからだよな」


「ホーンウルフの雷撃と麻痺については話を聞いていたし、対策も取れる」


「やる事は盾と剣を電気を通さない様に絶縁化する、具体的には持ちてと体に触れる盾の裏面に雷撃に耐性のある物を張る」


「地下四階より下へ行く者はしている事だが俺たちは入口付近でしか戦わないのでしていなかった、ホーンウルフは地下五階へ下がる階段付近でしか遭遇しないという情報を信じていたのが間違いだった」


「帰って、道具店へ行って装備を補強しよう」


「この階に他には面倒な奴居ないのですか?」


「情報にあるのはホーンウルフだけだ、装備を整えてリベンジするぞ」


「あんまり奥まで行くのは危ないです」


「そうだな、今度この辺に出て来たらリベンジするぞ」


 死にそうになって少し弱気になった。


「はっはっは」


「笑うなって、本当の事だろう」


 今回の件で他の探索者にまた言われた「幸運の女神が付いている」と・・・。


 こんな入口に遠くない所でホーンウルフに襲われるのが幸運か、助かったのは幸運だけど、いつも俺たちに後に地下四階に来る人も多いけど、あの人達はどこに行った?


 地下四階に降りてから時間も少し経っていたが、助けが来る確率はそんなに悪い確率では無いと思うがどうなんだろう。A級のサンドラ達が元居たパーティに助けられる確率は確かに小さいと思うがそれだけだよな。


 道具屋で絶縁のシートとテープを買った、今月は赤字かも知れないと思っていたらレイはまだ大丈夫ですと言っていた、君のアステムボックスには何が入っているのでしようか?


「レイは商人向きだよな」


「そうですか」


「計算に記憶力・アイテムボックス持ちと成れば商売すればもうけがザクザクではないか」


「レイさんって記憶力良いんですか」


「ダンジョンで会った人の顔を何日か忘れないぞ」


「帰りにチラッと見た人もですか」


「そうだ」


「パーティのお金の管理を任せている」


「私達に毎月くれる余剰金ですよね」


「それも有るが武器の費用に特別な費用とかも、色々考えてくれている」


「俺たちに余剰金は無いが必要なときには出して貰っているぞ」


「俺たちに余剰金が無いのは気にするな、俺とレイは余りお金を使わないし、ゴンは誰かに恵んでしまうからでバースは無駄使いしかしないからな」


「趣味にお金を使っていると言ってください」


「レイさんはお金を貯めるのが趣味なんですよね、俺の右目は知っている」


「レイ、本当か」


「そんな訳ないじゃないですか(*´σー`)エヘヘ」


「何か怪しいが良いか」


「私達もそれで良いです」


「女の子には俺たちに言えない事もあるだろう、俺たちは下着を買うにもレイに買ってくれって言ううだけだが、それを言われたらレイも困るだろう」


「そ、そうですね」とサンドラが焦っている。


「俺の下着はボロボロで穴が開いても着ていたら不憫に思って自動的に新しくなるから良いんだけど」


「洗濯とか掃除とかはどうしているのですか」


「洗濯は自分の物は自分でするが武器や防具は皆ですることも有るかな、掃除は順番にするがそんなにする場所は無い、ダンジョンに入っていない人が定期的に綺麗にしてくれるからしなくても大丈夫だぞ」


「それでお部屋に行っても綺麗だったんですね、私達の所へは掃除には来ていないようですがどうしてですかね?」


「女の人の部屋は頼まないと来ないぞ、頼むのか」


「今はまだ必要ありません」と首を振りながら又焦ってるよ。


「そうだよな、もっと下まで行くと何日かダンジョンの中で女の人でも掃除を頼んで入る人もいるけど、必要になったらまた考えればいいんじゃないか」


「そうなんですね」


「掃除の費用とかはどうしているのですか」


「そのための余剰魔石の寄付だな」


「ここではS級は底辺だが俺たちも恩返し出来るようになっているのでもう一人前かな、もっと下に行っているA級の人達は地上にサポートの人達が居るぞ」


「地上部隊と呼んでいる人達が居ました」


「東側はそんな感じて回っている、西は格差が激しいが生活出来ているから、何か有るんだろうとは思うけど西には行きたくないな」


「私も何か嫌な感じがします」


「そうだよなー、何か解らないが普通にここで生活するならもっとダンジョンに入らないと生活出来ないと思う、ダンジョンに入らなくても贅沢に生活出来る人達って何だということだよな」


 話はいつもの脱線ぎみだか絶縁処理は終わったので次からはホーンウルフ出て来ても麻痺対策は出来た。


 もう一つの生命線はサンドラの回復魔法なので守るべき優先順位は考えておこう、しばらくはホーンウルフとの闘いは無いと思うが今回よりも入口近くに出て来たら盾でカバーしながら撤退か戦うか考えておくか、絶縁処理が機能すれば戦う事も出来るからな。


「盾、ちよっと重くなりったか」


「・・・・・」


「変わらないってかゴンのレベルならば重さはさほど変わらないか」


 自分の盾を持ってみて少し重くなったのを感じた。


 剣の持ち手に雷耐性の物を巻いたので逆に滑りにくくなって丁度良くなった。


 それからはいつもの様に地下四階まで行って剣を試して帰って来るという、いつもの日々の繰り返しだ。


 今日の枝道は前に入った時に宝箱の有った枝道か、何時ものペースで枝道を進んで行く、一番奥の小部屋には宝箱無いかな。


 有りませんね、宝箱。


「今日はここまでで帰りますか」


「前の方から魔物が来ます数は5匹です」


「コボルトの方から来てくれるとは、枝道の枝道にまだいたのですかね」


「その後ろからも5匹来ます」


「10 匹来るってこと」


「五匹と五匹の間は10m位開いています」


「その後にも6匹来ます」


「五匹・五匹・六匹ですか」


「その後少し離れて人もいます」


「最初の五匹すぐそこです、《爆炎》、先制攻撃すれと右目が言っている」


 コボルトが怯んだスキに一匹・二匹・三匹・四匹・五匹とすぐに次ですか先頭のコボルトを一撃で次に横に居たコボルトを二撃目で、『悪いゴン一匹そっちに行った』四匹目・五匹目も大丈夫と次はと思っていると次の先頭がもう目の前に居た、一匹目の先頭の攻撃を躱しながらすれ違いざまに切った、二匹目・三匹目は同時に来たが躱して一匹づつ切り伏せた、四匹目・五匹目・六匹目は一旦停止してから攻撃して来た、お前たちそんなところで止まって良いのか、俺に切られるだけだぞ。


 一匹逃がしたが完勝した、少し戻ると逃した一匹をゴンが倒していた。


 これでお終いだよな、魔石を拾い終わったときに探索者が現れた、こいつら西の奴らだ。


「何か要か」


「コボルトはどうした」


「どうしたって何の事だ」


「コボルトが来ただろう、お前ら本当の事を言えよ」


「何匹かこちらに来たので俺一人で倒したが何か有ったのですか」


「お前ひとりで倒しただと」


「先輩、ちっよ不味いですよ」


「何だ新人」


「またお前らか、今度は戦う覚悟が出来たか」


「先輩ちょっと」といって後ろへ下がって行った。


小声で何か話していたが「そんな奴らだったのか」と聞こえた。


「先輩こえが大きいですよ」ってお前の声の方が大きいぞ。


「ゴホン、枝道にコボルトが入って行ったので心配して来てやっただけだ、倒せたのであれば問題無いから俺たちは帰るな」


「心配してくれてありがとうございます」


「それでは俺たちは帰るぞ」と言ってから前を向いてズルズルとゆっくり後ろへ下がってから振り向いたと思ったらそのまま走って行った。

 

 


 

 


 


 

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