第4話
「お前ら大丈夫か」
三人がボーとしている。
「何か女の子って良いですよね、場が和むって言うか、良い臭いだし居るだけで癒しになる感じがします」
「目のうずきが止まった、今の意見に賛成」
「・・・・・・」
「ゴンまで賛成かよ」
「女の子を去年も考えたがどうだった、俺たちがSと判ったとたんにサヨナラーって、もっと下に行きたいからって言われたぞ、現実はそんなもんだ」
「A級だとあと40年はここにいる訳でしょ、同じA級がS級で無いと一緒には居れませんよね」
「普通は歳の近いA級同士でパーティを組んで活動するか先輩の所に行くと思うぞ」
「Aって我々の代も去年もAは居ないのでチャンスかも知れませんよ」
「何を言っているんだ、AとSの間には埋められない溝がある」
「俺らはいつまでもここに居なければならない、でもAは頑張れは40歳前に出ることが出来るし、40歳前にここを出たら王国軍関係のエリート様でもA級冒険者にも成れるのに、ここに残る奴は居ないぞ」
「俺たちSは何者にも成れない、ただのこの塀の中の探索者でしかない、皆は探索者って言っているがここが刑務所で俺らは囚人と変わりがない、自由なんてどこにもない」
「俺らが目指すべき最初の目標はこの塀の中の自由だ、誰に気を遣わなくても生きていく事だ」
「そうなったら女も付いて来るが今の俺たちには実力が無い、どんな事でも排除出来る力が無いんだ」
「だから毎日コツコツとダンジョンに入り経験値を稼ぐしか、今はこれしか方法が無いんだ」
今日もはずれなので帰るか、もう少し魔石を稼いで帰るので地下三階でコボルト討伐です。
来る時にあんなに倒したのに、いつもの通り帰り道にはコボルトが居る、一撃必殺で最近は体が勝手に動いて倒すので時間は掛からないがたまに横道から出て来るんだよな。
「アラン、横道の奥で右目がうずく」
「横道の奥に何か有る」
「魔物と人間の反応がしますが、人間は戦っているものと後ろにいて動かないものとに分かれて居ます」
「何人だ」
「4人で戦闘中は二人です」
「それ不味くない」
「まずいですね、急ぎましょう」
小部屋の入口で二人が一匹のコボルトと戦闘していた、盾持ちと魔法使いか?、コボルトに魔法の発動タイミング掴まれている。
「通路の奥から、もう一匹来てる」とバースが知らせた?
「右目は良いのか」
「緊急時です」
普段から解りやすく言っていただくと良いのだが。
剣を取り出して、戦っている後ろからバッサリとコボルトを切り捨てて、向かって来ているコボルトも切り捨てた。
「悪い悪い、通行に邪魔だったので先に切り捨てた、魔石はお前たが持って帰れ」
「助けてくれてありがとうございます、魔石は先輩達が持って帰ってください」
「俺らのノルマは達成しているから大丈夫だ、それよりもケガ人を治療してもらう時は魔石は渡した方が良いぞ」
「ケガってタダで治して貰えるって聞きましたが違うんですか」
「タダだからこそ、付け届けが無いと適当な処で止められて治るのにしばらく時間がかかるぞ」
「治ったって報告され、見た目は治っているのでダンジョンに入らない理由にはならない、当たった、治療師にもよるがな」
「わかりました」
「なんでこの階に来た、まだ早いと思うがな」
「Dで抜けた奴がいたんで先輩に聞いたら、もっと下の階で無いと早くは抜けられないって言われました」
「お前たちのタグはDだよな」
「Dなんて普通に危険を冒さなくても2階までで十分、六か月もあれば抜けられると思うぞ」
「そうなんですか、先輩の中にDでも毎日の様にダンジョンに入っていても二階だと何年も掛かっている人がいるって聞きました」
「その情報ほんとか、そんな話聞いたことは無いぞ、最初のレクチャーの時に説明受けただろ、先輩ってどこの先輩だ」
「西の先輩です」
「また、西の奴らか、お前たちは向こう側に住んでいるから知らないと思うが、西に住んでいる奴らの、うまい話には乗るなよ」
「最悪、騙されて死んでも自己責任だからな、三階からは少なくても四人以上で半数が戦闘系のスキル持ちで無いと戦えない、時間はかかるが二階までにした方が良いぞ」
「三階はD級以下は死なないってのは嘘だからな、二階で強くなったと勘違いして下の階に降りて来てそのまま帰ってこないという奴らは毎年居るから、もう少しで今年はお前たちだっかもしれないぞ」
「それと地下三階以下は監視者が居ないからな、俺たちが悪い奴らでここでお前たちを殺しても誰も分からないから、その話をした先輩に何か言われなかったか」
「地下三階に入る日を教えてくれって言われましたが、今日は勢いで来てしまいました」
「助けに来てくれるのか、ここで終わりにするために来るかもしれない、もっと大勢を三階にいれるための餌かも知れないしな」
「まだ死んだ奴は居ないからわからないと思うがパーティで生き残りが居ない者の部屋を片付けるのは、こちら側に住んでいる人間がやるんだ、片付けの報酬も貰うが片付けた物の処分も任されている」
「ここに入る時に言われなかったか、良い物を持ってここに入るなと、親に止められなかったか」
「こころ当たりが有ったら早めに処分するか、レベル上げは監視者のいる地下二階までにするかだ」
「お前たちケガ人もいるからもう帰るよな、俺たちも帰るから一緒に帰っても良いぞ」
「奥のケガ人は歩けるのか」
「歩けます、胸のほねが折れたかも知れません」
「手は上がるのか」
「なんとか上がります」
「折れてはいないな、打撲かびびだな」
「歩く分には大丈夫だろう」
いつもの様に俺が前衛で後衛は居ない、たまに横道から出て来るのをゴンが倒している。
先程のパーティは男二人・女二人のパーティで全員D級で最初に組んだパーティのままここに来た様だ、俺は魔法を使っていたのが女の子だったとは解らなかった。
「君たち何処出身」とか色々な事を聞いて魔石を集めているのが水の勇者のレイさんです。
俺達のダンジョン散策の危機感の無さに逆に驚かれ、もっとずっと下の階まで行っている思われたが、まだ地下四階の入口まで行って毎日引き返していると言ったらもっと驚かれた、どれだけ地下四階が強いのかと思ったかも知れない。
無事に二階まで帰って来たので後は監視者の人達がどうにかする、ここでお別れる。
監視者の人達も地下三階に降りる無謀な若者を止めないのは何故かわからない、なかには心配してこの階段近くにいる人達もいる、それなら行く前に止めろよな。
俺たちはそのまま二階を進んで何事もなく外まで帰って来た。
西の悪い噂は数えきれないが新人たちは知らないのか知っていても大丈夫と思っているのか、今日の様な事がまた起きる可能性はゼロではない、地下三階から帰る時はもっとバースに右目のうずきを使ってもらおう。
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