第3話 二年2か月

 コボルトキングが一瞬で消えた・・・。


 長かった2か月かかった、試した回数は合計170回か。


 明日からも長い地下四階の日々が始まる、何年で行けるかな、ウルフは四種類いるはずなので平均5か月だから20か月以上掛かると二年か。


 今回もゴブリン戦士から170本目だった、170本目は早いのか遅いのか170/1000だから二割近く試しているのだからそろそろと思っても前回みたいに全く音沙汰無で一本見つけるのに半年、試した本数も5割を超えても当たらない時はうんざりするし滅入る。


 うちのメンバーは変わってると言われる、ののほほほーんとしている奴と魔法が打てればいい奴とかで必死になっているのは俺だけって何だ。


「今日はお祝いですか、お祝いですよねという事はいつもの食堂でなく高級食堂ですね」


「上級者用か」


「そうです、あそこへ行きましょうよ、私、牛食べたいです」


「あすこ有料だぞ」


「わかっていますよ、コボルトキングの魔石は十分にありますので大丈夫です」


「何匹倒したかわからないくらいコボルトキング倒したからな」


「毎日、一番目に倒していましたから順番待ちは無かったですしね」


「ここから先に行く人達には『いつも倒してくれてありがとう』ってお礼されましたよ」


「コボルトキング戦は地下5階まで行けるかどうかのの試練石ですから、意外と地下4階に行く人達も時間が掛かりますからね」


「最近、俺らの後にすぐダンジョンに入る人達が居ますよね」


「何時も後を突いて来る奴らな、そしてボス部屋の外に居る人達ですよね」


「B級のパーテイだよな」


「ちっょと感じは悪いですけど何も言ってきませんし、何もしないので良いですけど」


 ボス部屋を出るとやはり居ました話していたパーティが。


「こんにちは、何処までですか」


 また、無視してボス部屋に入って行きましたよ、明日からボス部屋から出て来なかったらいつまで待っているのでしようかね。


 ボス戦が終わってしばらくしたら入れるように成りますのでチエックしていれば解る事なので良いですけど、いま教えてあげようと思ったのに無視するんですもの。


 帰って来る途中コボルトとゴブリンを多めにに狩って帰って来た、今年は入った新規の者たちはボチボチ地下二階に進出してくるがゴブリンの集団に出会ったら厳しいので少し減らしている。

 数か月したら真っすぐボス部屋から帰るルートにする、俺たちを追い越す組が現れる、地下二階以上進まない組もいるので安全を取るか早くここを出たいかで別れる。

 


 地下四階は草原で見晴らしも良い、何時も入口近くでウルフと戦う事にしている。


「今日はランドウルフちゃんですか・・・・剣を振ったがこれもハズレです」


「ハズレ・ハズレ、当たり無し・・」


「ゴンちゃんお願い」


「盾持っていてもレベル低いと押し負けて大変だわ」


「ゴーン」「キャーン」と音がした、横からゴンが盾でランドウルフを押した。


「ゴンちゃんは軽く押している様に見えてスキルも使っていないのにウルフがぶっ飛ばされている」


「もう帰りますか」


「そうですねいつものスライム作戦ですね」


「なにそれ」


「ゆっくりゆっくり進む」


「地下四階まで来るのは早いぞ」


「そうですね、アリとキリギリスとかはどうでしょう」


「それならウサギ&かめの方が良くないですか」


 それはどちらも行も帰りも同じスピードだから当てはまらないよ。


 今は地下四階の入口まで来るのに四時間帰りに三時間という感じになっている、走って魔物と戦わなければ三時間・二時間半が限界、レベルが上がっているゴンはもっと早く移動出来るが魔物と戦う時間も入れて考えたら一緒かもしれない。


 パーティ登録したら経験値は均等割りなので近くに居れば経験値が入る適用範囲は20m以内と言われている。


 俺が一人で倒しても経験値は均等割で八人まではあまり変わらない、メンバーが少ない方が経験値は多少多いが危険度も増すのでそれぞれの好みと強さでパーティの人数は決めている、地下五階より下は六人以上のパーティが多い。


「サリバンさん居ますか」、いつもの様に魔石を置きに来た。


「よく来た居るぞ」


「いつもの魔石持ってきました」


「助かる」


「新人のほうはどうですか」


「毎年と一緒かな最速で出てったのは、この町の有力者の息子だな」


「二か月ですかEだったんですよね」


「いや、Dらしいぞ」


「それは無理でしょ」


「西側の奴らが協力したらしいからな」


「西側のって、いつも絡んで来る連中ですか」


「地下五階のゴブリンの所で修行生活だったらしい」


「帰ってこないでダンジョンに入りっぱなしですか」


「そうだ、補助している奴らは交代制でやったらしい、五階の端の安全地帯に泊まり込みだったそうだ」


「あまりダンジョンの下に行かない奴らが下がって行くと思ってました」


「何が目的なんですか」


「他のダンジョンで出る物や酒の流通権らしい」


「今も高い店にはあるが、酒を買える様になるのですか」


「そういう話らしいぞ」


「お前たちは稼ぎが少なくて買えないと思うが地下5階以下に行ける奴なら一応、密売だが自由に買えると思うぞ」


「魔石ですか」


「そうなんだよな」


「ここへ持って来る人が減るって事ですか」


「そうなる、西側の奴らはここを牛耳って自分たちの王国を作るつもりらしい、これが第一歩で外で売っていて塀の中に無い物を売るらしい」


「今でも売店で売ってますよね」


「売店で売って無い物もあるからな」


「女性なら化粧品類とか色々と無い物はある」


「そんな物売れるのですか」


「そりゃー、女の気を引くためには買う男もいると思うぞ」


「くだらねーの」


「年頃になれば解る」


「年頃になればだが、今年、Aの中に女の子が二人いるぞ」


「もうそろそろ、D・Eに終わる奴が出始めるのでグループがバラバラになる時期だ、現実を受け止める時期でもある、10歳だが手を出す奴は出すからな、早めに保護しないと西側に連れていかれるぞ」


「何でおれに言うんですか」


「お前の所まだ人数に余裕があるだろう」


「面倒事は勘弁してください」


「ゴンもいるから大丈夫だろう」


「変な場面に遭遇したら何とかしますが俺たちはレベルが低いのでなんともならないかも知れませんよ」


「気にかけてくれ」



 終わったので飯食って帰ろう、皆は食べ終わっていますね。


「他のメンバーはどうした、お前らだけ残ったのか」と女の子に声を掛けている男が居る。


「まだ残っているメンバーは居ます」と女の子が答えている。


「どうせCとかDだろう一年もしない内に居なくなるぞ、その時になったら絶対困るから今からどうすのか考えて俺らの所へ来いよ AはAで仲良くしてやる」


「どこに住んでいるのですか」


「西側の宿舎だ」


「西側って行った事ないですが、どうですか?」


「良い所だぞ、ここより色々な物が手に入るからな」


「そうなんですか」


「ほしい物をリクエストすると魔石で買えるぞ」


「なんでもですか」


「なんでも買えると思うが、特殊な物は魔石も多めにいるからな」


「そうなんですね」


「もう少し今のパーティでダンジョンに入る事になってます、今後の事は後で相談する事になっていますから、今はどちらにしても駄目です」


「そうか、また来るから良く考えてくれ、たまには西側の食堂を使って良いんだぞ、ここには無い牛肉もあるし、オーク肉は毎日出るぞ」


女の子が二人残った、サリバンさんが言ってた女の子達か?


「向こうの食堂って、牛肉も出るって言ってたよ」


「私の調べたところでは、食堂でも牛肉とオーク肉は有料です」


「それと西側に行くとあいつらのボスの所に連れて行かれて、何をされるかわかりませんよ」


「攫って行くと問題になるので、自主的に西側へ来るように仕向けています」


「それに決して攫わない訳ではありません、地下三階より下は監視の目が有りません、意識不明にされて連れて行かれると同じパーティかどうかは出る時は確認されませんから、その後行方不明の人もいるみたいですよ」


「アニスちゃんなんでそんなに詳しいの」


「まー、忍者ですから情報集めは得意です」


「それより、絶対あなたみたいなのほほーんとしている子は攫われると思いますよ」


「地下二階より下には行かないから良いの」


「すぐにレベルが上がらなくなって、もっと深い所へ行かなければ経験値が溜らなくなりますよ」


「ふーん、そおなんだ」


「忍者の私は要らなくても、回復スキル持ちは需要が下へ行くほど高いと思います、先輩の冒険者と一緒に行ってもらうのが一番です、良いパーティは満員で空きが無いのが現状ですね」


「そこの君たち」


「私達の事」


「そうそこの君たち、困ったことが有ったら相談に来なさいってサリバンさんが言ってなかったか」


「あの変なおじさんですよね」


「ちょっと変った人かも知れないが東の代表みたいな事をしている、変な事はされないので大丈夫だぞ」


「わかりました、ありがとうございます、失礼します」


「ありがとね」と名前の分からない女の子に礼を言われた。


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