第11話:闇に染まった復讐の狂宴

「まさか、王太子殿下まで加わっていたのか?!」


 アンドレアがあまりの驚愕に独り言をつぶやいていますが、これくらいの想定もしていなかったのでしょうか、愚か者としかいいようがありません!


 王太子が下劣な性格だという事は、御姉様の御話の端々から感じていました。

 御姉様を邪魔にして殺そうとする事も、その際に強姦しようとする事も、容易に想像する事ができたでしょうに。


 御姉様が付けておられたモンタギュー公爵家重代の御守と、私から御渡ししていた御守の力で、劣情を阻まれた王太子が、王太子に与えられている魔道具を使って御姉様を殺したということです。


 御姉様の御守を超える魔力を叩きつけて殺そうとしたことで、御姉様の身体は見るも無残な状態になりました。


 その御陰というのは腹立たしいことですが、それが御姉様を死後に穢される事を防ぎました。


 私が御姉様の御遺体に会えた時には、美しく整えられていました。

 グレタが気の利かないアンドレアにやらせてくれたそうです。


 アンドレアだけがモンタギュー公爵家重代の御守を解除する事ができるのです。

 解除した後で、御遺体を整える魔法と使ってくれたのです。


 私が偽物を演じる上でも、仮死であったと偽るためにも、御姉様の御遺体を整える必要があったのです。


「父上、このまま王太子を生かしておくと、必ずモンタギュー公爵家は乗っとられてしまいます。

 ここは思い切って王太子を殺してしまいましょう。

 その上で、第二王子でも第三王子でも、父上に有利な方を王太子につけましょう」


「分かった、ここまでコケにされては黙っておれん!

 それに俺に都合のいい王子を擁立するというのも気に入った!

 かまわん、俺様が許す、全員殺してしまえ!」


 私はアンドレアの許可を受ける事ができたので、モンタギュー公爵家の全力を使う事ができるようになりました。


 これはとても大きい事でした。


 全てを自分の魔力に頼っていたのを、モンタギュー公爵家の権力と財力と魔道具を使ってできるのです。


 最後にアンドレアを殺す事を考えている私には、自分の魔力を温存する必要があったのです。


 私は当初の予定より大幅に余力を残した状態で集団呪殺を断行しました。


 魔血晶を使った呪殺の効果は絶大でした。


 王家に伝わり王太子に与えられるような強力な御守も、ルディーニ公爵家の当主が持つほど強力な御守も討破り、御姉様を殺害したのにかかわった数十人を皆殺しにするほど絶大だったのです。


 本当は何十日も痛み苦しんでから死ぬ呪いにしたかったのですが、相手は王太子と公爵です。


 長引かせると、どのような方法で呪いを解いてしまうか分かりません。


 一度失敗してしまうと、警戒されて呪殺が難しくなります。

 だから仕方なく、確実に即死させる呪殺術式を使ったのです。


 しかしエンマだけは、私の傀儡人形として殺さずに生かしました。 

 エンマを殺すのは、ルディーニ公爵家を継ぐ資格のあるモノを皆殺しにして、ルディーニ公爵家をエンマが継ぎ、私が次期後継者と認められてからです。


 御姉様を蘇らせる素材を手に入れる為なら、ルディーニ公爵家もモンタギュー公爵家も手に入れます。


 次期王太子の正妃の地位も必ず手に入れて見せます!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る