第8話:結びついた狡薄、闇の実情明かされる

 私が準備万端整えている所に、敵は乗り込んできました。

 魅了した鳥の多くは夜目が利かず何も見えないのですが、夜鷹と梟は別です。

 彼らには空から不届き者を監視してもらいました。


 猫・貂・狐・狸・鼬・鼠を総動員して、屋敷の外に集まっている不届き者を見張ってもらいました。


 最初に屋敷に入ってきた不届き者は、麻痺魔法で動けなくしました。

 麻痺魔法なので、自害することもできません。

 私に腹心の家臣が数多くいたなら、その者に確保してもらったでしょう。


 ですが私には腹心の家臣などいません。

 私が信じられるのは乳母のグレタだけです。


 だからといって、魅了した番犬に引きずって連れてこさせるわけにもいきません。

 そんな事をしてしまうと、番犬を魅了しているのがバレてしまいます。

 しかたなくグレタに頼んで、アンドレアに知らせてもらいました。


 先にエンマに知られてしまって、密かに処分されたら元も子もありませんから。

 アンドレアも信用できませんが、今は利害が一矢しているので、一番不信なエンマよりはマシです。


「……この魔法はお前が使ったのか?」


「はい、御姉様を殺した敵を迎え撃つために、急いで覚えました」


「嘘を吐くな!」


「静かになされてください、誰に聞かれているか分かりませんよ。

 魔法で使い魔を送り込んでいる可能性もあるのですから」


「そんなことはありえん!

 この屋敷にはモンタギュー公爵家が誇る結界が張られているのだ!」


「確かに外からの魔法には強いかもしれませんが、一番の敵が内にいるのではありませんか?

 その者が引き入れれば中から探れますよ」


 私の言葉に、アンドレアが憎々しげな表情を浮かべて私を睨みつけます。

 しかたないではありませんか、本当の事なのですから。


 まあ、御姉様がおねだりしていた魔導書が、私にも渡っていたと思えば、苛立たしさと恐怖を覚えるのは当然でしょう。


 その魔法が使われるのが自分だという事くらい、理解しているでしょうから。


 だから私も本当は隠しておきたかったのです。

 アンドレアに警戒されるのは分かり切っていましたから。


 ですが、今のアンドレアは直ぐに私を殺すことができません。

 私も安全を確保して御姉様を蘇らせるまで、アンドレアを殺すことができません。

 

 互いの妥協の産物として、疑い警戒しながらも協力する状態となります。

 アンドレアは自身の腹心に私が麻痺させた不届き者を拷問させました。


 専門の熟練拷問官だったようで、自殺させることなく重要な情報を色々と引き出してくれました。


 多く集まった密偵が牽制しあう中で、一番に屋敷に乗り込むくらい能力も実績も自信があった奴ですから、多くの情報をもっていました。


 ですが今回はその自信が裏目に出て私の捕らえられる事になりました。

 結果として、黒幕の一人と雇い主を白状する事になったのです。

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