第6話:闇の魔術と陰謀の舞台
私は使い魔を造り出す傀儡魔術を使う準備を行いました。
準備をしている間に、他の魔法も思いつきました。
私の頼み通り木や卵を集めてくれているグレタには悪いのですが、思いついた魔法を試してみることにしました。
思いついた魔法というのは魅了の魔術で、人や動物を奴隷のように使えるのです。
グレタや御姉様に使おうとは思わない魔法ですが、アンドレアやエンマ、二人の手先には積極的に使いたくなります。
もっとも使ったのが私だとばれたら困りますから、慎重に使わないといけません。
最初は屋敷の庭で遊んでいる小鳥に魅了魔法を使ってみました。
あまりに簡単に小鳥を魅了できたので、正直拍子抜けしました。
その小鳥を殺して死霊などの魂を移せば、死霊魔術になるのですが、可愛い小鳥を殺すのは可哀想です。
使い勝手は悪いのですが、多くの小鳥を魅了して、屋敷の窓を見張らせることにしました。
小鳥を魅了できたので、今度は屋敷で飼っている番犬を魅了できるか試してみましたが、楽々魅了することができました。
番犬を通じて屋敷内の会話を集めることにしました。
小鳥の後は、鳩や鴉といった、少し大型の鳥を魅了してみました。
彼らなら食事の間隔が開いても大丈夫なので、長時間見張りさせられます。
アンドレアとエンマに加え、二人の側近にも見張りを付けました。
見張りの種類と数は多ければ多いほどいいので、魅了した番犬に庭に入ってくる猫や貂、狐や狸、鼬や鼠といった小動物を私の方に追い込ませ、次々と魅了しました。
彼らを使って、屋敷内に情報網を築きました。
「御嬢様、卵と木切れを集めてまいりました」
私が独自の情報網を築いている間に、グレタが次々と集めてきてくれました。
勝手に動きたのが後ろめたくて、魅了魔法で情報網を築いていることは言いませんでした。
卵は有精卵でしたので、そこに死霊の魂を入り込ませました。
木切れは組み合わせて人形を形作りました。
木切れで作った人形が屋敷を歩いているのは、あまりにも不自然です。
いえ、不自然というより異常です。
絶対にアンドレアとエンマは犯人を探し出そうとします。
それに私が木切れで人形を作ったことは、二人の息がかかった侍女が報告するでしょうから、使えば直ぐに私が犯人だと分かります。
そこで言い訳を考えました。
少なくとも表面上味方であるアンドレアに通用する言い訳が必要でした。
そこで考えたのは呪術士の呪いです。
アンドレアには、御姉様を殺した者達に報復するために使う依代として、木切れで作った人形が必要だと伝えておきました。
それを聞いたエンマがどう動くか知りたかったのです。
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