ゆらり 第１回カクヨム短歌・俳句コンテスト俳句の部二十句連句部門参加作品

ゆらり

青き踏むさびしさもまた糧として

花筏ひとひらゆらぐ日のゆらり

春愁の淡さ絵筆にのせて肌

春眠の水浮きさうな波間かな

身をよせて水のたゆたう花おぼろ

淡きこと打ち明けにゆく海二月

日盛りやこれほどまでに息をして

満たされてもらへぬ萩のうねりでは

囀りのなかに囀り重ねをり

湯上がりの肌にいただき団扇風

美しき爪立てし荒梅雨あがりけり

ふれられて風に離るる夏蝶よ

めつむれば白薔薇ひらく胸にこそ

つなぐ手の魂さまよへり秋祭

髪撫づる手に宥められ夏の月

古民家の猫のつめあと合歓の花

剥かれたる果実全裸のオランピア

稲妻や小さき痙攣まで白く

珈琲と紅茶のふたり冬の朝

底冷えも雨もふたりの窓の外