第12話
「切り捨ててなんかない」
「何を、」
「辛いし、いつでも泣きごと言いたいよ。」
「なら、言えばいいじゃん!!私が悪いって悪いって」
パシッ
「いっ」
「そんなこと誰が言ったよ!!調子にのんな!馬鹿で人を傷つけるいじめっ子のくせに!!」
スイッチの入った俺は思いっきり胸ぐらを掴む
「俺の気持ち分かられねぇよなぁ!!お前はずっと傷つけてたんだから、俺痛みも悲しみも、悲鳴も聞かずに攻め続けて、痛め続けて、ずっと笑ってヘラヘラしてんだからよ!!そして今度はどうだ??今度は逆の立場になって??同じように怯えて??大切な物を同じように奪われて??そしたら、今度は、私が全て悪かったって??調子にのんなぁ!!こっちはたくさん傷ついてそれでも耐えて何度も過去にして来たんだ、分かるか??お前からすると、その日その日で新しく見えて来たかもしれねぇ、けど俺はその過去達ないからがあるんだよ。どんなに辛いことだって1秒経てば過去なんだよ!!今この瞬間だって、さっき言ったことだってお前にしたことも過去なんだよ!!」
「きゃっ」
「過去を捨てるなって大事にしろだって??じゃあ俺の今言ったこと一言ずつ同じに言えるか??言えたなら許してやるよ!さぁほら言ってみろよ!!」
「・・・言えない」
「だろうなぁ!!過去は戻らないし、いつまでもそこに浸れない。人は嫌でも時間は動いてこの世の物は全て過去になる。そんな起きてしまったことを、数え切れないくらいの俺の虐めと、お母さんの死んだことをなかったことに出来るのか??」
「出来ない」
「そうだろ!!出来ねぇんだよ!!それを一丁前に!!過去を切り捨てるなんて言うんじゃねぇよ!!過去の重みも分からなぇやつが、人の過去を語るんでじゃねぇ!!」
「ご、ご、ごめんなさい」
甘寧は泣き続けた。そして、何度繰り返し謝り続けた。
当然、叔父さんと叔母さんは俺たちに気づいていたが、見守ってくれたらしい。
「優、私、私」
やっと少しは落ち着いて来たのか、謝罪連呼から変わった。
「甘寧、」
「何??」
「お母さんはこんなふうに悔やんでほしくないと思うんだよ。」
「そうなの」
「うん、俺は甘寧より一緒に居たから」
「そうだよね」
「だから・・・だからさぁ、」
あぁ、甘寧さんの涙を見たからかな、お母さんを思い出したからなぁ
甘寧さんのお母さんへの思いもかな。
俺も泣いていた。
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