ローマ帝政初期の経済状況
今回の資料は興味の分かれるところですね。国家財政の歳入とか歳出とかに関心のある方には面白いと思います。帝政初期の国費なのですが
収入の単位はセステルティウスです。
100セステルティウス=金1アウレウス=金8.17グラム
といっても金(ゴールド)の価値は変動するからわかりづらいと思います。
(1) 国家財政(国庫と元首金庫の共同分担であるが、その細目や金額はいっさい不明。)
A 歳出
1 祭費 (例)ローマ祭76万、アポローン祭38万。
2 公共建築費 神殿・水道・国道・広場・公会堂などの新築補修。 (例)国道1マイルにつき10万。
3 軍事費 軍団兵・護衛隊兵・都警隊長の給料だけで年2億。
4 人件費 首都の政務官は無給。属州で務める者は総督・知事以下、全部有給。
都の下級公僕や元首属吏も有給。(例)アフリカ知事100万、元首属吏6万~30万の間で階級あり。
5 穀物費 (例)20万人の無償受給者に対する費用だけで、年に48万
6 祝儀・贈金
B 歳入
1 税収入 ローマ市民の支払う間接税、非市民(属州民)の納める直接税。
2 その他の収入 国有の農地・牧草地・鉱山・製塩所・石切場などの使用料。
3 臨時収入 a戦利品 b罪人の財産没収 c罰金 d失効遺産没収。
(2) 個人の職業と収入
1 上流社会層(元老院階級の資格財産100万)
イ 元老院階級の人らの主な職業 地主・金貸・高級軍職・属州管理職・法廷弁護士・告発者。
ロ 個人の財産 (例)ある人4億。またある人2億。セネカのある葡萄園の年収40万。
2 中流社会層(騎士階級の資格財産40万)
イ 騎士階級の人らの主な職業 元首属吏・軍人(中堅)・徴税請負人・貿易商・工場主・卸商人・銀行家・船舶運送業。
ロ 個人の財産 (例)ある詩人は200万の遺産を残した。ある詩人は「賢者の持ちたい財産は40万」と言っている。
3 下流社会層(貧乏な市民・解放奴隷・奴隷)
イ 主な職業 国家奴隷(=公僕)・兵卒・労働者・小売商人・医師・俳優・教師・剣闘士・占星師など。
ロ 収入や財産 (例)初等教師は1人の生徒より年500、 高等教師は年に2000が相場、カエサル家の家庭教師は年棒10万。ある解放奴隷は3000万の財産をつくる。元首の解放奴隷の1人は3億、またある1人は4億、ある俳優の年収70万、ある花形馭者は3500万の遺産を残す。ある医師の年収60万、別な医者の遺産は5300万、と千差万別。
(3) 生活費(物価はローマのもので、属州ではもっと安いのがふつう。)
年収2万4000でつつましく暮らせた。家賃2000~6000。
(エジプトでは2000で1年暮らせたという。)
麦粉1モディウス(4升7合)について10(上等は2倍)。年に1人で60モディウス必要である。
酒1アンポラ(1斗4升)100~400、油1リットル2~3
アフリカ知事の年収とか出ている。じっくり読めば面白いかも。
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