セルウィウス・トゥリウス制

 最初だけ引用します。



 なぜならばセルウィウス・トゥリウス王(伝承上のローマ七王の6代目の王)はのちにかくも大きなものとなったローマ支配権にとってこのうえなきしあわせとなったもの、すなわち戸口調査(ケンスス)を定め、これにより戦争と平和との務めを、従前のごとく個人単位にではなく、財産状態に従わしめようとした。そこで階級とケントゥリア(百人組)と、平和にも戦争にもふさわしいこの秩序とを、戸口調査にもとづいて表示した。



 解説です。



 セルウィウス・トゥリウスの改革は、伝承につつまれていることもあって、諸説にその評価がわかれている。しかし、この改革の時期がB.C.6世紀からズレたとしても、この改革によってローマが古い氏族制の枠組から脱皮して市民共同体へと発展していく時期の変革であったことは認められる。

 セルウィウスは、戸口調査を行わせ、ローマを四つの区に分けた。そして財産に応じて五つの階級に区別された市民は、それぞれの階級のなかで百人隊に編入された。百人隊が軍隊の基礎になったのは言うまでもないが、民会(兵員会)の構成単位でもあり、市民は軍役の義務と投票権を百人隊に属してもつこととなった。アテナイのクレイステネスの改革と似たところはあるが、ローマでは、この改革が民主政の基礎とならず、貧富の差を前提とする差別の体系となった。それは、投票順が上位の等級から行われたから、騎士と第1級の級で過半数を得られるためで、事実上、第2級以下は除外されたといえる。しかし、この制度によってローマは古い氏族制のクリア会が無意味なものとなり、古い氏族の軍隊から、ローマの区・等級・百人隊によって構成され、財産評価による不平等はあったが、各自で武器や装備を自弁するローマ市民軍団の基礎が誕生したのである。



 戸口調査に財産による階級分けですか……。ローマ支配権にとってこのうえなきしあわせになったと。



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