ソロンの改革
気軽に楽しめる内容ではありません。
この「世界史資料」という本の古代ギリシアのあたりの資料は読みづらい難解なものが多くて、私はやけを起こしてしまいました。別にこのエッセイは歴史解説のエッセイではなくて資料を中心にしたものなのですから、資料を引用して、丸投げしてしまえばいいのではないかと。
読みやすいエッセイが理想なのですが、しばらく、私にも意味不明な引用をします。写経か何かの気分です。
まず、ポリス民主政の発達についてソロンの改革からです。
ディアクリオイ(山岳党)の部族は極めて民主的であり、ペディエイス(平原党)の部族は極めて少数政治的であった。又、第3のパラロイ(海岸党)の人々は中間の混合した政治形式を喜んで、両党の邪魔をしそのいずれかが支配権を得ることを妨げた。その頃貧民の富者に対する不均衡が言わば絶頂に達して、町は全く危険な状態にあった。独裁政が現れてはじめて町は落ち着き動乱を止めるだろうと思われた。民衆全体が富者の負債に苦しんでいた。富者のために土地を耕していた人々は収穫の6分の1を納めていて、ヘクテーモリオイ(六分衆)とかテーテス(納貢者)とか呼ばれていたし、身体を質に置いて、或るものはそのまま奴隷となり或るものは外国に売られて行った。多くのものは自分の子供たちを売らなければならなくなっても、これを禁ずる法律はなかったし、債権者の苛酷に苦しんで国を去るように強いられた。又大多数の屈強な人々は団結して、これ以上冷淡でいないように互いに励まし合い、誰か信頼の置ける人を首領に戴いて、期限の過ぎた負債者を開放して土地を分配し直し、国政を全く変革しようとしていた。
そこでアテナイでも最も思慮のある人々は、ソロンだけが様々な過ちを免れ、富者と結託して不正を行ったり貧民の窮乏に陥ったりしないのを見て。政治に携わって国民の不和を取除いて貰いたいと頼んだ。(中略)
後の歴史家がアテナイの人々は困る事柄を立派な人好きのする名前で、洒落た呼び方にし、売笑婦をお友達(ヘタイラー)、租税を貢物、方々の町の占領軍を守護者、監獄を部屋(オイケーマ)と言っているのは、恐らくソロンが最初に負債の帳消しを重荷卸しと名付けた工夫から始まったものだと言っている。ソロンは先ずこの政策を取って、現在の負債をなくし、将来に向って人身を抵当に金を貸すことを禁ずる法律を出した。
(中略)
ソロンは先ず、殺人に関するもの以外は、ドラコン(前7世紀の立法家)の法律全部を廃止した。刑罰が苛酷で大き過ぎたからである。殆どすべての罪に対して一つの刑罰、即ち死刑が定められていたので、怠慢の廉で有罪とされたものも死刑に処せられ、サラダ菜や果実を盗んだものも神殿を荒らしたものや人を殺したものと同様な罰を受けていた。そこで後にデーマーデースは、ドラコンは法律をインクでなしに血で書いたと述べて当りを取った。ドラコン自身も、何故大多数の犯罪に死刑を課したのかと聞かれて、軽い犯罪はこの刑に当ると思うが、重い犯罪にはこれよりも重い刑罰がないからだと答えたそうである。
第2にソロンは全ての高級な官職をそれまでの規定通り富裕な人々の手に残そうと欲したが、それまで民衆が参与していないその他の政治部門には民衆を介入させようと思って市民たちの財産の格付けを行い、穀量並びに液量にして500メトロンの収穫があるものを1級と定めて、2級は馬1頭を養う力のあるものもしくは300メトロンの収穫のあるもの、3級は200メトロンの収穫を持つものであった。残りはすべて、行政権を一つも与えられず、議会と裁判によってのみ国政に参与した。このことは、最初は何でもないことのように思われていたが、後には極めて重大な意義を持つようになった。争議の大部分は裁判官のもとに持ち出されたからである。ソロンは、行政官に決定を命じた事柄についても、それを望むものがあれば、裁判所へ提訴することを許した。
言い回しがどうにかならないかなぁ。そして解説です。
B.C.7世紀末からB.C.6世紀初頭にかけてのポリスは、政治的危機の状況にあった。ソロンは名門の貴族の出身として、この危機の打開に「調停者」として登場した。当時のポリスは、アテネを含めて下層市民の債務奴隷化に対する不満、貴族の市政における威信の低下などで政治的対立が激化していた。多くのポリスで立法者や調停者がその解決にあたったが、ソロンはドラコンのあとをうけ、財産評価による政体を提起したのをはじめ、「重荷おろし」による債務奴隷の禁止、四百人評議会の設置など注目すべき改革を実施した。
しかし、この改革には、貴族、下層市民ともに不満であった。重荷おろしは、貴族に評判が悪いし、土地を基準に評価する政体は、下層市民にとってなんの利益ももたらさなかった。したがって、以後は、党争が激化し、アテネをはじめ各ポリスは僭主政期を迎えた。
私にとっては写経ですが、面白いと思って読んでくれる方がいたら嬉しいです。
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