古代オリエント文明――文明の形成
第1編「古代の世界」の第1章「古代文明」そして第1節「古代オリエント文明」とここまで来ると資料も細かくなってきます。エジプトの「死者の書」とかメソポタミアの「ハンムラビ法典」とか有名な資料も掲載されていますので、ここからは少し細かく読み進めたいと思います。
古代オリエント文明の第1項「文明の形成」から
この項ではシュメール文字とか、石器などよりはるかに便利な金属器を作る鍛冶職(冶金技術)の発達とか、シュメール農民の耕作や灌漑についての教えの資料などが掲載されています。しかし、何と言っても私が感銘を受けたのはシュメールの滅亡を歌った「嘆きの歌」です。長いけど引用します。
時代を変え、掟を滅ぼそうと、
凶悪な嵐が颱風のように
一切をむさぼり食う
シュメールの秩序を変革し
その「良き統治時代」が去り
都市を滅ぼし、家々を滅ぼし
家畜の飼育場を滅ぼし
ヒツジの飼育場を襲う
ウシが飼育場から姿を消し
ヒツジが飼育場で繁殖せぬように
運河がにがい水をはこび
良い穀物畑に雑草(だけ)が生い茂り
ステップが「嘆き草」を茂らせ
母が子をいつくしまず
夫が妻の名を呼ばず
妾は(男の)膝でたのしまず
はい歩く子らは成人せず
乳母は歌って子らを寝かしつけず
王国の首都はかわり
賢明な裁断はくだらず
王権はシュメールからはこび去られ
国人は(従順に)敵国を眺め
アヌとエンリルの言葉によって掟は滅ぼされ
ユーフラテス・ティグリスは荒れた岸部に悪
しき草を茂らせ
街道に足をふみいれる者はなく
旅にのぼる者はなく
ウシは飼育場で乳も脂もださず
ヒツジは子を生まぬように
(シュメールは)恐れ、人びとは震え
(王と)家臣は、都市に嘆きをもよおす
糸賀昌昭氏の訳です。
私の感想はこの嘆きの歌のような資料は引用したいけど、引用しすぎるのも良くないような気がしますが、紹介したい気持ちに負けそうです。
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