子供のころに買わなくてよかった

 俺がゲームを解いている間、クリスは時間と魔力の許す限り爆弾の位置を探ってくれているみたいだ。

 けれど、どうやら魔族側からの妨害の魔力もあるらしく、うまく探し出せないらしい。


 俺のゲームの攻略具合はというと、門番を倒して地球に爆弾をしかけたことを聞き出し、クリスが地球にやってきたところだ。


 ……なるほど、クリスが目的を忘れていたのはゲームでも同じか。


 ちなみに、クリスが門番に詰め寄っているシーンは暗転して台詞だけで進められていた。

 お子様に見せられないような方法だということは判った。


 で、転移の場面に偶然居合わせた地球に住む青年の家に泊まることになり、そこで目的を思い出そうとするのも同じ。


 え、つまりこれ、顔のグラフィックはないし、名前は自分でつけられるようになってるけど、地球人の協力者って俺のことか。

 うわぁ、なんかすげぇ恥ずかしい気分。


 ここからはどうやら会話主体で進めていく、どっちかっていうとアドベンチャーゲームみたいになってる。

 本格重厚ファンタジーRPGを謳っててこれじゃ、なるほどクソゲーって言われるわけだ。俺も当時買ってたらお金返してって泣いたかもしれない。小学生の五千円は大人よりも価値が重い。


 けれど今の俺にはこっちの方がありがたい。

 レベル上げの時間が無くなって、選択肢の直前でセーブして先を見て、違ってたらやり直すって方法がとれるからな。


 とはいえ、爆発は明日だ。明日のいつかもまだ判らない。

 クリスが爆弾の魔力を探知するのが先でもいい、俺が先にゲームで正解を見つけるのもいい。


 とにかく、急がないとな。

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