15.解く
ゲームがクリスの消えた記憶をよみがえらせるヒントになるかもしれない。
俺は大学で友人らに「ダークネス・フローム・フォレスト2」について尋ねてみた。
「なにそれ?」
「あー、なんか昔に流行ったゲームか」
「また懐かしい名前を出してきたなぁ。それがどうした?」
みんなの反応は薄い。
ネットでちょっと名前を見かけて、どんなゲームだったかなと思って、と理由を濁したら「検索しても引っかかってこないようなゲームなんだし、大したことないだろう」で片付けられてしまった。
しまったな。アプローチを間違えたか。
「そういえば、あいつなら知ってるんじゃないか?」
中学からの友人が、遠方に引っ越した友人の名前を出してきた。
彼は小学生のころから仲が良くて、そういえば「ダークネス・フローム・フォレスト」を俺がやりこんでいた時に一緒に盛り上がってたんだった。
どうして存在を忘れてた?
……もしや、これも魔王軍の情報操作?
いや、今はとにかく情報収集だ。俺はすぐにメッセージを出してみた。
返事はすぐに来た。
『そういやおまえ、子供のころに1をクリアしてたよな。でも2はクソゲーだって評判で買わなかったんだっけ』
『2ってどんなゲームだったか覚えてる?』
『なんか、途中までは復活した魔王軍との戦いだったけど、敵勢力が地球に爆弾を仕掛けてヒロインがそれを止めに来るって感じになってたよな。重厚ファンタジーがうりのはずだったのになんだそれって散々叩かれてた』
爆弾?
そりゃ叩かれるわな。
いや、それが本当なら、今まさに爆弾が仕掛けられてるってことだろう?
どこに仕掛けられてる? いつ爆発するんだ?
地球を破壊してしまえばという目的のための爆弾だ。爆発したらここら辺なんて跡形もなくなるだろう。
冷や汗がどっと流れる。
クリスの任務の重大さが改めて実感できた。
……当の本人が忘れてるけどな。
にへっと笑うクリスの顔を思い出したら、なんか気が抜けた。
「なんかわかったのかー?」
ゼミの友達が呑気な声で尋ねてくる。
「ちらっと見た評判通り2はクソゲーだったみたいだ」
内容を話すと「なんだその展開」とみんなが笑った。
俺も一緒に笑いながら、クリスにゲームの内容をメールした。
これで一つ大きな謎が解けたけれど、爆弾を見つけて撤去するなんてすごく大変そうだ。
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