09.肯定
暇を見つけては「ダークネス・フローム・フォレスト2」の情報を検索しているけど、面白いくらいに情報量がない。
あっても、あれはクソゲーだった。やる価値なし。みたいなコメントばかりだ。
でもふと疑問に思う。
クソゲーをどれだけクソなのかをブログやSNSなんかに書いている人も少なくない。それ発売元に訴えられないか? ぐらいにこき下ろしてるのもあったりする。
それに、十年前のゲームなら公式ページがなくても攻略ページは残っていることが多い。なんならもっと古いゲームの攻略ページもある。更新は停まってるとしても。
不自然に何もなさすぎじゃないか?
「何か見つかったんですか?」
俺が、ひらめいた、みたいな顔をしていたからか、俺の部屋で勝手に漫画を読みながらくつろいでいたクリスがそばに来た。
「ちょっと思いついたことがあるんだけど、おまえも漫画読んでごろごろしてないで思い出せよ」
「脳にいろいろな刺激を与えると記憶をつかさどる部分が活性化する、という情報を得ましたので、普段触れないようなものに触れて活性化していました」
屁理屈だなっ。
まぁいい。
俺は思いついたことをクリスに話してみた。
「おまえが戦ってる魔王軍が、おまえらの行動を阻止しようとしてこっちの世界に干渉して来てるってことはないのか?」
問うとクリスは真剣な顔になって考え込んだ。
「確かに、わたし達の記憶操作の魔法より強力な、もう洗脳と言っていいレベルの魔法を使う敵はいましたが……」
その魔法でも、人を操ることはできても異世界の情報を操作することはできないのではないかとクリスは言う。
「ただ、わたし達が集団で転移の術を使ってわたしをこちらに送ったように、魔王軍も魔法に長けたものが集結してそういった大がかりな術を使った可能性は、否めません」
なるほど。
「普通は『情報ないな』で終わるところを、情報操作の可能性に気づくなんて、さすが明くんですねっ」
……褒められた……。
そういえば、クリスに否定されたことがない。
そういうところは好感が持てる。
「そしてそこから魔王軍に関することを思い出したわたしも偉い」
そこで自分あげかっ。台無しだなっ。
「だったら早く世界の危機に関することを思い出せよ」
ツッコミに、クリスはしゅんとなったがすぐに顔をあげて「明くんとわたしが協力すればすぐに思い出せますよ」と笑った。
またそんな根拠のないことを。
けれど、なんとなくそんな気がするから、不思議だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます