第１回カクヨム二十句連作部門ノ２

ナツノクモ

夏の雲　夜より暗い　夜明け前

入道も　黒い衣を　脱ぐ朝日

昇る日に　雲は薔薇色　君の色

崩れない　色を作って　夏に立て

夏の雲　陰足りないと　君日傘

青い影　夏の海を　映す雲

雲流れ　汗も流れる　凪の海

吹きだした　風に遅いと　ご立腹

日傘持つ　君のサンダル　僕の手に

どこまでも　夏雲二人を　追いかける

足跡は　素足が夏の　波に消え

素麺に　ギヤマン彫りの　鈴の音が

午後の二時　雲ひとつない　天気雨

打ち水で　入道雲に　早くなれ

黒雲を　皆で見上げる　夏祭り

団扇越し　浴衣に透ける　濡れた肌

さっと降り　ぱっとあがれば　花火頃

一番に　上がる花火の　音の音（ね）よ

夏花火　雲も煙も　染めていく

夏の風　雲をかきわけ　天の川