最終話 さよなら

凛の家

「おかえり!おねーちゃん!」

「ただいま、桜。」

「どうしたの?おねーちゃん元気ないよ?」

「私、奏に振られちゃった…」

「え…?なんで?!奏ちゃんが…」

「多分、私の事嫌いになっちゃったんじゃないかな。」

「そんなこと…」

「桜、協力してほしい事があるんだけど、聞いてくれる?」

「うん…聞くよ、なにすればいいの?」

「桜に、奏に謝る場を作るのに協力してほしいの。」

―――――

夜 奏の家

プルルルルル

「電話?…誰だろこんな時に…桜ちゃん?」

「もしもし…」

「奏ちゃん!!おねーちゃんが…おねーちゃんが死んじゃう!」

「え…?凛が…死ぬ?ど…どうゆうこと?!説明して!」

「おねーちゃんの部屋に遺書みたいなの置いてあって…さっき学校に忘れ物取りに行ってくるって言って出て行っちゃって…!私おねーちゃんの学校どこにあるか知らないの…だから奏ちゃん!お願い…おねーちゃんを助けて!」

「分かっ…た、私に任せて…桜ちゃんは警察に連絡お願い!」

「分かった!おねーちゃんお願い!奏ちゃん!」

―――――

(凛が死ぬ?私のせいで?私が別れようとか言ったから?凛にとって私がそんなに大きな存在になってたなんて…)

「取り敢えず今は早く学校に行かなきゃ…凛には…凛には死なせない!」ダッ

「こんな時間に何処に行かれるのですか。」

「学校に忘れ物!すぐに戻るから!」

―――――

学校

「君!ここの学生?だめだよ、入っちゃ。」

「すい…ません!忘れ物しちゃって…明日…必要な物なんです…」ぜ〜は~

「君も?だめだよ、友達と集まって肝試しとか。」

「他にも…人…来てるんですか?」

「うん、背の高い女の子。君の友達?」

「凛だ…ありがとうございます!」ダッ

「あ!ちょっと!待ちなさい!て…行っちゃった…」

―――――

学校 屋上

「凛!」バンッ

「奏、来てくれたんだね…嬉しいよ。」

「凛…なんで…こんな事…」

「桜、なんて言ってた?」

「凛の遺書、見つけたって!何でこんな事するの!桜ちゃん…一人にしちゃ…だめだよ…」

「…私は、奏に一人にされた。」

「凛には桜ちゃんもいるじゃん!それに、学校の人達だって…」

「私の本当の姿見てくれるのは奏一人だけだよ

。」

「本当の…姿?」

「うん、私の弱くなって、ぼろぼろになっちゃってる姿。」

「それは…!私が…弱くしちゃったから…」

「そうだよ、奏が弱くしたの。奏が私を甘やかすから。だから責任は取ってほしかったな…」

「責任、取るから!だから死なないで!お願いだから!」

「奏は私が嫌いなんでしょ。奏が居ないと生きられない、弱い私が。」

「嫌いじゃない!好き!大好き!凛がどうなろうと、私は凛の事が好き!だからこんな事やめて!」

「なら、こっちに来て私を抱きしめて。」

「うん、分かった…。」

―――――

凛の家

「おねーちゃん、奏ちゃんに謝れたかな〜…ってこれなんだろ…手紙?おねーちゃんからだ、何だろ?」

『桜へ 今までありがとう。桜にはたくさん助けられてきたね。桜のいつでも元気な姿を見て、私も元気をもらってたよ。桜は強い!私が居なくなっても一人で生きていける。桜はには最後まで迷惑かけてごめんなさい。 お姉ちゃんより』

「な…なに…これ…本当の…遺書…?」

「早く…奏ちゃんに伝えないと…!」

―――――

奏の家

プルルルルル

「奏様の電話?誰でしょう…桜様?」

「もしもし。」

「メイドさん?!奏ちゃんは?」

「今、外出しておりますが…」

「まずい…メイドさん!今すぐおねーちゃん達の学校に行って!早く!」

「分かりました、しかしなぜでしょう。」

「おねーちゃん、多分奏ちゃんの前で死ぬつもりなんだ!」

「っ…それは本当ですか?!」 

「本当だよ!冗談とかじゃない!」

「分かりました、桜様は警察に連絡を。私は学校に向かいます。」

「分かった…!お願い、メイドさん!

―――――

学校 屋上

ぎゅ〜

「これでわかった?私は、凛が好き…わかったら、もう二度と…こんな事…しないで…」

「奏…ありがとう、そして…ごめんね…」

とんっ

「…え?」

「私、奏の事が好き。だから…奏。私のために、死んで。」

「そんな…私は、本当に凛の事…」

「待ってて、お母さん…奏…今…私もそっちに行くから…」


END

――――――――――

《その後…》

ニュースでは少女二人の無理心中と報道された。

桜は、事件後すぐに行方不明に。メイドさんは最初は、放心状態で何も手に付かなかったが、今は奏が愛した人の妹であり、行方不明となった桜捜索の手伝いをしている。

――――――――――





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病弱少女と天才少女 アポロ @sanndo

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