第5話 好き
次の日
(凛今日、学校来てない…昨日、あんな事言っちゃったから…)
(ちゃんと謝らなきゃ!でも謝ってどうにかなるのかな…)
(…凛に告白された時、胸がぎゅっ、てなった…咄嗟に、「そうゆう目では見れない」って言っちゃったけど…)
(取り敢えず凛の家に行こう!そしてちゃんと謝ろう!それと…)
―――――
放課後 凛の家
ピンポーン
「は~い花咲で~す!」
「桜ちゃん、凛居る?」
「奏ちゃん!おねーちゃん居るよ!全然部屋に鍵閉めて全然出てこないけど…何かあったの?」
「説明するから、取り敢えず扉開けてくれる?」
「うん!分かった!」
―――――
「お邪魔するね、桜ちゃん。」
「いらっしゃい!奏ちゃん!それで昨日、何があったの?」
「それが…」
―――――
「ていう事があって…」
「なるほど、だから昨日のおねーちゃんあんな風になってたんだ…」
「どんな風になってたの?」
「うん、昨日おねーちゃんが帰ってきた時ね、」
―――――
昨日の夜 凛の家
「おかえり!おねーちゃ…ん…?」
「ただいま…桜。」
「どうしたの?おねーちゃん?すごく顔色悪いよ?」
「大丈夫、心配しないで…すぐご飯作るから待っててね。」
「うん…わ、分かった。」
食卓
「おねーちゃん大丈夫?全然食べてないけど…」
「大丈夫…ちょっと食欲無くて…私先に寝るね?桜、一人で寝れる?」
「うん…大丈夫…おやすみなさい…」
「おやすみ、桜。」
次の日の朝
「おねーちゃん!おはよう!」
「桜…おはよう…ごめん私体調悪いから…朝ご飯、昨日作った私のご飯の残り、温めて食べて…」
「昨日から、おねーちゃん大丈夫?」
「心配しないで、桜はちゃんと学校行ってね…」
「う、うん…分かった…!」
―――――
「ていう事があったの…」
「そうなんだ…」
「昨日からのおねーちゃん、おかーさんみたいだった…おねーちゃんもおかーさんみたいに居なくなっちゃうじゃないかって…奏ちゃん、おねーちゃんの事、助けてあげて!」
「…分かった、話してくれてありがとう、凛の部屋に案内して。」
「ありがとう奏ちゃん!こっちだよ!」
凛の部屋
コンコン
「凛…私だよ、奏だよ。話したい事があるんだけど…」
「……」ガチャ
「ありがとう、凛。開けてくれて。」
「奏…何で来たの…」
「凛に謝らなきゃいけない事があるの。」
「謝るって、何を?」
「昨日の告白の返事。」
「それ話は、もう!…」
「私も好きだよ、凛。」
「え?…う、嘘だ!昨日は私の事、そんな目では見れないって!…」
「昨日は咄嗟にそう言っちゃったけど…ああ言った後思ったの、凛と離れたく無いって。凛に嫌われたく無いって。今まで自覚してなかっただけで、私も凛の事好きだったみたい。」
「そんな…嘘だ!私の事騙そうとしてる!」
「嘘じゃないよ、凛。私は凛の事、好き。」
「…証拠は!私を好きだって言う証拠は!」
チュッ
「…え?…今…口に…キス…して…」
「これで分かった?私が凛の事、好きだって。」
「…もう、ひとつ……ぎゅって、して。」
「うん。」ぎゅ
「もっと。」
「うん。」ぎゅ~
―――――
数分後
「凛?落ち着いた?」
「うん…落ち着いた。」
「そっか…ごめんね?昨日、あんな事言って。それに急にキスなんかして。」
「ううん、私も取り乱してごめん、それに…キス…その…良かったし…」
「良かったわたし、初めてだったから…上手く出来たなら良かった。」
「またキス…してくれる?」
「うんいつでもしてあげるよ。」
「じゃあ、今…お願い…」
「うん、分かった。」チュッ
「あ~おねーちゃんと奏ちゃん、キスしてる!」
「さ、桜ちゃん?!これは違くて…」カァー
「何が違うの?おねーちゃん、奏ちゃんと結ばれて、良かったね!」
「桜?!知ってたの?!私が奏が好きって事?!」
「知ってたよ?おねーちゃんが奏ちゃんの事話す時、ちょっと顔赤くして、すっごい楽しそうに話すんだもん!」
「そうだったの…じゃあ改めて紹介するね!私の彼女の奏で〜す!」ニコニコ
「よろしく、桜ちゃん。」
「二人ともおめでとー!おねーちゃん、すっかり元気になって良かった…」
「桜、心配させてごめんね?」
「ううん、大丈夫!奏ちゃんもありがとう!おねーちゃん元気にしてくれて!」
「うん、桜ちゃんもありがとう。もう遅いし私は帰るよ。また明日ね、凛。」
「う、うん。また明日…」
「またね〜奏ちゃ〜ん!」
――――――――――
《花咲楓》
花咲凛と花咲桜の母。桜を産んだ直後に離婚しており、女手1つで子供を二人も育てるのは大変で、身体的にも精神的にも追い詰められ、凛が中学1年の頃、自ら命を断った。桜が少し大人びているのも母を亡くし、精神を病んでいた凛に心配させないためで、凛を少しでも元気付ける為に陽気に振る舞っている。
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