第61夜
ひとつ、またひとつ。
散らばって隠れてしまった〖ワタシ〗の欠片。
2歳になる前に妹が産まれて。
ウチは〘 お姉ちゃん〙になった。
名前で呼ばれるのは、怒られる時だけ。
自分の名前が大嫌いになった。
〘 お姉ちゃん〙だから、我慢して。
〘 お姉ちゃん〙だから、譲ってあげて。
〘 お姉ちゃん〙だから、しっかりして。
ウチの中心は、妹になった。
好きな色も着たい服も買ってもらった人形も。
妹が「欲しい」と言えば、ウチには選択権は無くなる。我慢しなければ、譲らなければ窓から放り出されるか押し入れに閉じ込められるか。
最初は泣いてた気がするけど、泣いても変わらないと直ぐに諦めた。(あぁ、この人達は妹が大事なんだな)って理解したから。
名前で呼ばれないウチと、名前で呼ばれる妹。
ウチが名前で呼ばれることに固執するのは、(ウチをちゃんと見て欲しい)って気持ちが消えないからなんだろうな。
変な話、名前で呼ばれると大事にされてるんだなと思う。←拗れ思考。
〘 お姉ちゃん〙から〘 お母さん〙になって。
ますますウチの中心はウチ以外になった。
ウチ自身も1人になれる時間がなくて、精神的にかなりおかしい事になっていたと思う。
常に不安定で、体調も崩してた。
そうやって、心身に症状が現れていたのに見て見ぬふりを続けた結果。
ウチは『自分がどうしたいか』を、完全に見失った。
2回目の離婚の後。ウチに〘 良いお姉ちゃん〙〘 良い母親〙を押し付けていた母と、縁を切った。子供たちにまで〘 良い孫〙〘 良い子〙であることを、強制してきたから。
貴女の思い通りには、ならないしさせない。
『親はどんな時も子を想う』なんてのは、ウチと母の間には成り立たない。母が必要なのは、ウチではなく〘 母の思い通りに動くヒト〙だから。
ウチの人生はウチのもの。
やっと気付いて、そう生きていくのを決めた。
だから、母と母娘を続けていくのは無理だとも気がついた。
〖ワタシ〗がどんなものが好きで、どんなものが苦手で、どうしたいのか。
それを今、手探りで見つけているところ。
きっかけは、大好きで大事な人。
自分から(この人と話してみたいな)(この人のこと知りたいな)と思ったのは、異性では初だった。それが「好き」の始まりだと知ったのは、大好きで大事な人に指摘されてだけど。
(指摘された時に、それも解らないくらい自分を失くしてたんだなぁと思った)
大好きで大事な人と一緒に過ごす時間のなかで、自分が無意識に強がってしまうこと・周りを必要以上に気にすること・ありえないくらい泣き虫なことが確定した。
反射的に「大丈夫」って答えたりしてるし、相手にも「大丈夫?」って聞いてたりする。
映画でもアニメでも歌でも、泣いてしまう。
周りを気にするのは、迷惑をかけたくない・嫌われたくないが染み付いてるんだろうな。
だいぶ抜けてきて、「大好きで大事な人以外にはどう思われてもいいや」と思えるまでになった。←進歩!!
もうすぐ、初対面から1年。
「会ったら気持ち変わるかも」(悪い方に)と言われたけど、変わるどころか「好き」が強くなってるし増してる。毎日(好きだなぁ)(触れたいなぁ)(一緒にいたいなぁ)って想う。
ウチ自身はポンコツ具合を晒してしまっているので、正直どう思われているのか怖いのだけど。怖いけど、死んでも一緒にいるって想うのは変わらない。もし、大好きで大事な人に何かあったら、その相手は絶対許さないし末代まで祟ってやるし最悪の結末を迎えさせてやる。
ウチのこの先の時間を全部使って良いと思う。
ウチの中に〖ワタシ〗を取り戻すきっかけをくれた人。大好きで大事な人。
いつもありがとうを伝えてるけど、全然足りない。もっと伝えられたらいいのにな。
言葉が上手くないから、在り来りの言葉になってしまう。伝わってると、いいな。
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