第4夜

「東京来る?」

急に電話で言われたものだから、驚いた。

「会わないって言ってなかった?」

思わず聞き返したよね。

顔も知らない、LINEで繋がってる相手。

けど。

不思議と<この人なら大丈夫>って思ったのを覚えてる。

今迄の相手に会う前は不安しか無かったのに。

東京に行く前日、電話くれたの嬉しかったな。


当日、案の定東京駅で迷子になったウチ。

「どこ?」

そう通話しながら、待ち合わせの場所とは逆方向にいたウチを見つけてくれた。

なんなら、ウチも顔知らないのによく分かったな…。

いや、だって視界に入った瞬間彼のとこだけ色付いて見えたのデスヨ。

彼に言ったら、「なんじゃそりゃ」って言われそうですが。

初対面で、会ってすぐ手を繋いだ事に違和感もなくて。

ただただ、安心した。

東京では、もう1人会ったんだけれど。

何だろう?

たぶん、彼がいたから大丈夫だっただけで。

その人と会うだけだったら、きっと断ってた。

実際、グループ通話で誘われた時は

「年末でしょー?私お酒飲めないし、夜は無理」って断ったしね。

ま、その人は後日縁を切るのですけれど。


異性に触られる

のは前述にも書いたように、あまり良い思い出がない。

けれど、彼だけは別。

今も、彼に触れたいと思うし触れて欲しいと思う。なんなら毎日思ってたりする。

自分を(相手に)合わせなくて良いし、一緒にいる方がウチは自分でいられる。完全な素の自分。

人前で泣くのは苦手だけど、彼といると泣けるんだよね…。


東京から帰る時、わざわざ新幹線のホームまで来てくれて。

ギリギリまで一緒にいてくれた上に、見えなくなるまでいてくれて。

嬉しくて泣きそうになった。

未だかつて、そこまでしてくれた人居ないよ?

親にすら早い内に見限られたような人間なのに、ここまでしてくれるなんて。

ちょっとだけ、神様っていうのを信じてもいいかな?とまで思った。





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