第5話 偵察機

司令部から出ると2人はまず機体の状態を確認しに行った。


「モロー中佐、もしかしてこの機体って普通のU-S2にさらに改良が入ってます?」


「そうだな。確かに少し機器周りが変わっているような気がする。とはいえ操縦に支障がない程度だろう」


「そうですね。この状態ならあと30分ほどあれば準備は完了すると思います」


「わかった。リシャールがそういうのならそうしよう。ないとは思うがもし被弾した場合は原発上空から速やかに退避した後に機体からの脱出してくれ」


「了解です」


離陸までの30分はあっという間に過ぎていく。その間2人はいつものルーティーンをして心を落ち着かせながら過ごしていた。


そして偵察機に乗り込む時間になる。2人にとってすでに何回も経験した動作だ。もたつくことはない。


「こちら管制塔、フラップは問題なく動きますか?」


「こちらモロー、両翼問題なく作動します」


「こちらリシャール、同様に問題ありません」


「それでは離陸を許可します。誘導員の誘導に従って順次離陸してください」


その声を合図に誘導員はまずモローに案内を出し離陸させた後にリシャールも離陸させた。


「モロー中佐、気づいたのですがU-S2は偵察箇所上空を飛ばなくとも情報を獲得できるように電子光学センサーを搭載しているのではありませんか?」


「…それもそうだな。だが俺たちはあくまでも軍人だ。上の命令には従わなければならない」


「…了解です。まぁテロリストが偵察機を撃墜できるようなものを持ち込んでいるとも思えませんし上空を飛んでも問題はありません」


「ただ司令部の話では対空砲を持っているという話だ。警戒をしていくことに損はない」


「わかっていますが対空砲ですよ。現在では低空を飛んでいるものに使うものです。この機体は偵察機ですから撃墜されることもないと思います」


「まぁ、そうだな。そんなことよりもそろそろ原発上空だぞ。気を引き締めていけ」


「了解」


そして原発上空を通過する。が、なぜかうまくセンサーが機能しない。こんなことは聞いたことがないがおそらく雲によるものだろうと2人は判断。そのため2人は高度を落として飛行することにする。


「今度は高度を落としているから大丈夫だと思うがそのせいで補足される可能性がある。慎重に行くぞ」


「了解です。っ、高射砲を確認!攻撃を受けています」


「持ちこたえろ!あと3秒の辛抱だ」


「任務を完了!これより帰投する」


その間も地上から高射砲で撃たれ数発被弾しているが幸いどれも致命的なものとはならず機体に傷がつく程度ですんでいる。


任務を終了させた2機は速やかに原発上空から退避。そして帰投した。

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