第13話

翌日も、そのまた翌日も。

夕方に、彼は現れた。

注文は決まって、〖コーラとオムライス〗。

黙々と食べ、お支払いを済ませると帰っていく。で、何故か私の上がり時間に合わせて外にいる。

「あの子、久保さんに用があるんじゃない?」

「いや…?誰かを探してるって言ってたけど」

最初の日、彼は確かにそう言った。

誰を探してるんだろう?


「久保さん!」

目が合うと、彼は声をかけてくるようになっていた。…なんか、大型犬みたい。


もうそろそろ1ヶ月。

聞いたほうが良いのかな。

…なんだろう。

聞いちゃダメな気がする。

聞かない方がいい、と言うべきか。

何かが、自分の中から溢れてくる。

(ーーー怖い)


「あの、さ。」

重い口を開く。

「キミは〖誰〗を探しているの?」

みるみる見開いていく瞳。

「久保さん、俺は-」

そう、彼が口を開いた瞬間。

私の脳裏にある名前が浮かぶ。

「『嵩雅』…?」

口から出たその名前は、何度か夢で見た【彼】の名前。

それを聴いた途端、クシャクシャになる彼の顔。

「ーっ!藤、やっと」

「『やっと見つけた』」

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