第9話

夏休み。

毎度定番の読書感想文と夏の友と自由研究。

それと、部活。

部活は、夏の間にコンクールがあるので練習があるのだけれども。

顧問もやる気がないので、割とグダグダ。


夏休み前まで何度か寝落ちしたけれど、ただただ【桜と嵩雅と穏やかに過ごす】だけで終わってた。


夜視るのは、いつもの〖炎に包まれる夢〗なんだけど。


おばあちゃんちの紫陽花が毎年綺麗で。

梅雨時期はカエルも来たりして、私はとても好き。

今年は、その紫陽花が燃える幻覚が見えて萎えたけど。


読書感想文は、ギリギリまで読む本で悩んだ。

感想文とか、苦手なんだけど。

夏の友は、案の定数学でピタリと止まっている。苦手なんだって。二次関数とかさっぱり。

自由研究は、、、カエルの観察にしようかな…。

夏休み終盤のこの時期からでも大丈夫だろうか。


夏休み始めの土曜に、実母がきた。

実家には帰らないのかとグチグチ言われたが、部活があるからと断った。


おばあちゃんには「無理に帰る必要はないよ」と言われたので、甘えさせてもらった。


私は実母が嫌いだ。

向こうも私の事が嫌いなのに、「ご近所さんに言われるから」と、体裁と世間体ばかり気にして〖良い母親〗をしようとする。

小6で気付くまでは、母を怒らせないように・母が周りから悪く言われないようにと頑張っていたけれど。

気付いてからは、もうどうでも良くなった。

なんなら、早く実家から離れてしまいたかった。

夢の人が迎えに来てくれたら良いのに、と本気で思っていた時期もある。

…夢に逃げ込みたいと思うほど、私は実母が嫌いだった。


蝉の声と、うだるような暑さと。

その2つで、私はまた夢の中にトリップする。

膝を抱えて、深い海の底に沈むように。

【桜と嵩雅】が居てくれたら、それでいいのに。机に突っ伏して、私は意識を手放した。

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