第5話

気が付いたら、保健室にいた。

どうやらぶっ倒れたらしい。

昼から寝落ちするって、なんなんだ。


物心着いた時から、安眠とは無関係で。

常に気が張っているのか、小さな物音で起きてしまう。

気が張ってるというか、警戒心が強いと言うか。

寝落ちれば、炎に包まれる夢。


呼ぶ声と手を握った感覚だけ、妙にリアルな。

まぁ…物心着いてからずーっと視ているし、夢の中とは言え触ってるし。


しかし。

今日のは白昼夢と呼ぶにはあまりにリアルだったな。

【桜の弟】

なんであんなに、気になるのか。

…表情筋生きてる?ってくらい、ヒトに興味無い顔してたな。

鼻摘まれてるのみて、微かに笑った(ように見えた)けど。

ほんの少しだったけど、声はいつもの夢の相手と似てたな。

低い声。低いけど、甘い。

夢の相手は、胸が苦しくなるんだよな。

ありがとうと、ごめんねが入り混じって。

自分の意思とは関係なく、涙が零れて起きる。


〘 来てくれてありがとう〙

〘 巻き込んでごめんね〙

そんな言葉が胸を締め付けて。

嬉しい のに 悲しい。


ポタッ…

思い出すだけで、泣けるとか。

どうしちゃったんだろう。

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