第6話

あの日以来、昼間に突然睡魔が襲ってくるようになった。

で、決まって【あの2人】が出てくる。

相変わらず、【弟】の方は表情筋死んでるし。

【桜】は、対照的にクルクルと表情が変わる。


ただ、未だに【弟】の名前だけが解らない。

何故だか、ノイズが入るのだ。

名前が解ったら、何か不都合でもあるのだろうか。

ただただ、平和な日常が穏やかに流れていく夢。

体感的には数週間なのに、実際は30分くらい。

授業中に寝落ちるのは、どうかと思うけど。


まぁ、勉強嫌いだしいっか。

数学の授業とか、本当に苦手。

公式とか解らんから。

…かけ算出来るようになったの、中学入ってからだしな…。


【桜】は、最近ずっと憂鬱そうだ。

あまり元気がない。

どこか上の空で、大好きな落雁も手を付けない。

なんなら【弟】の方も、無表情に磨きがかかっている。

夢とはいえ、何が起きてるのか気になって仕方ない。


…次、見た時に聞いてみようか。

いや、そもそも【藤】は私なのか???

ただ意識が入ってるだけでは?

友人が言うように、前世だとしたら。

ただ過去を追体験しているだけ、ってことにならないだろうか。

だとしたら、私が何か動くのは違うんじゃないだろうか。


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