第3話

「待っていて」

最後に聞こえるようになった声。

ずっと残ってるけど、自分の知る限りその声の相手には未だ会ったことがない。

まぁ、少なくとも地元の連中の中には居ない。

中学の同級生、、、にも居ない。

うーん。

やけにリアルだったんだけどな。

どうしても声の主が知りたい。

けど、今のところ夢しか手がかりがない。

顔も解らない。

ただ、私の手をすっぽり包めるくらい大きい手をしてるってだけ。

あの手の持ち主に会えたら、解るのかな。

…解っても、相手には言えないな。

絶対痛い子だと思われる。

前世だのなんだの、そんなものは無い…と思う。思いたい。

けど、そんな所謂運命の相手とやらに逢えたらいいなとは思う。


母と色々あって。

出した結論が男の子になればよいのでは?だったので、「The女の子」みたいなモノに憧れはあれど。どうせ似合わないよなと勝手に思い込み、ショートヘア・Tシャツにデニムと言う、憧れとは程遠い格好をしている。

言葉遣いも、かなり悪い。

夢の中の自分は、どんな人なんだろう?

もし。

もし、夢で逢った人に、あの大きな手の人に逢ったとしたら。

…幻滅されそうだな笑

とか思ってみたり。

まぁ、そんなことは万が一にもないから。

夢は夢で終わるだろうな。

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