第33話 実は人見知りだった主人公。聞き込み捜査で知らない人に声を掛けるのも恥ずかしい。
「いや、それほどでも」
「まあ、私らの方がレベルは高いが、今回はサポート役に徹しよう」
二人は謙遜する。
「ところで、そちらのお嬢さんは?」
レイナはルリの方を見た。
「ああ、彼女はルリ。俺のパートナーだよ」
「そうか。これからも頼むぞ」
「はい」
「よし、じゃあ出発しよう」
俺たちは出発した。
◆
目的地は王都。
まずはそこで情報集めだ。
月光隊があったギルドホールへ俺たちは向かった。
だが、、、
月光隊の部屋には誰も居なかった。
部屋はもぬけの殻で、貸出募集中になっている。
「誰もいませんね」
ルリが言う。
「そうだな」
俺は答える。
「やはり、ギリトとバジウスってのは怪しいな」
バルターが腕を組む。
「ああ」
俺は同意した。
「ギリトとバジウスってどんな人だったの?」
レイナは不思議そうな顔をしている。
「実は……」
俺はレイナに説明した。
「なるほど……それは許せませんね」
「だろ?」
「はい。必ず復讐しましょう」
「おう!」
俺は力強く答えた。
「おい、誰か来たぜ」
バルターが指差す方向を見ると、数人のプレイヤーがこっちに向かって歩いてきた。
「なんだ?」
「あれは『白百合騎士団』ですね」
ルリは言った。
「知っているのか?」
「ええ、あの人たちは正義感の強い人たちよ」
「ふーん……」
ルリは詳しそうだ。
「彼らに訊いてみる?」
ルリが呟く。
「え!?」
俺は驚いた。
「どうして?」
「だって、月光隊がいた部屋に入ってく。多分、月光隊の後にこの部屋を借りたのよ」
「う~む」
どうするか。
「どうするんだ?」
バルターが煽る。
こう見えて人見知りの俺。
いきなり話しかけるのはハードルが高い。
「大丈夫ですよ。私が話してみる」
ルリは一歩前に出た。
「いや、俺が行く」
コンプレックスを克服しなければ。
「ちょっといい?」
「何だ?お前らは?」
男っぽい話し方だが、少女だ。
「俺たちは月光隊の知り合いです」
「ほう、そうか。それで何か用か?」
「はい。ここにいた月光隊の人を知りませんか?」
「知らんな。ここは私たちのギルドのものだ。部外者は出ていけ!」
「そうですか。失礼しました。お邪魔しました」
俺は頭を下げ、部屋を出た。
「はぁ……。緊張した」
「しっかりしろ!そんなんでこれからやってけんのか?」
バルターが喝を入れる。
「すみません」
やっべ、俺ってば緊張してる。
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