第33話 実は人見知りだった主人公。聞き込み捜査で知らない人に声を掛けるのも恥ずかしい。

「いや、それほどでも」

「まあ、私らの方がレベルは高いが、今回はサポート役に徹しよう」


二人は謙遜する。


「ところで、そちらのお嬢さんは?」


レイナはルリの方を見た。


「ああ、彼女はルリ。俺のパートナーだよ」

「そうか。これからも頼むぞ」

「はい」

「よし、じゃあ出発しよう」


俺たちは出発した。



目的地は王都。

まずはそこで情報集めだ。

月光隊があったギルドホールへ俺たちは向かった。

だが、、、


月光隊の部屋には誰も居なかった。

部屋はもぬけの殻で、貸出募集中になっている。


「誰もいませんね」


ルリが言う。


「そうだな」


俺は答える。


「やはり、ギリトとバジウスってのは怪しいな」


バルターが腕を組む。


「ああ」


俺は同意した。


「ギリトとバジウスってどんな人だったの?」


レイナは不思議そうな顔をしている。


「実は……」


俺はレイナに説明した。


「なるほど……それは許せませんね」

「だろ?」

「はい。必ず復讐しましょう」

「おう!」


俺は力強く答えた。


「おい、誰か来たぜ」


バルターが指差す方向を見ると、数人のプレイヤーがこっちに向かって歩いてきた。


「なんだ?」

「あれは『白百合騎士団』ですね」


ルリは言った。


「知っているのか?」

「ええ、あの人たちは正義感の強い人たちよ」

「ふーん……」


ルリは詳しそうだ。


「彼らに訊いてみる?」


ルリが呟く。


「え!?」


俺は驚いた。


「どうして?」

「だって、月光隊がいた部屋に入ってく。多分、月光隊の後にこの部屋を借りたのよ」

「う~む」


どうするか。


「どうするんだ?」


バルターが煽る。

こう見えて人見知りの俺。

いきなり話しかけるのはハードルが高い。


「大丈夫ですよ。私が話してみる」


ルリは一歩前に出た。


「いや、俺が行く」


コンプレックスを克服しなければ。


「ちょっといい?」

「何だ?お前らは?」


男っぽい話し方だが、少女だ。


「俺たちは月光隊の知り合いです」

「ほう、そうか。それで何か用か?」

「はい。ここにいた月光隊の人を知りませんか?」

「知らんな。ここは私たちのギルドのものだ。部外者は出ていけ!」

「そうですか。失礼しました。お邪魔しました」


俺は頭を下げ、部屋を出た。


「はぁ……。緊張した」


「しっかりしろ!そんなんでこれからやってけんのか?」


バルターが喝を入れる。


「すみません」


やっべ、俺ってば緊張してる。

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