第32話 ヒロインの新たな秘密。そして、裏ルートの仕事に手を染める主人公!

「そして、俺ら『撲殺天使』が呼ばれたわけか」


『刺殺倶楽部』の本部の応接室で、ジェイドは呟いた。


「はい……」


アリスは下を向く。

彼女は刺殺倶楽部のサブギルドマスター。


「どうしました?」


ジェイドと一緒にギルドを組むルリが彼女の顔を覗き込んだ。


「いえ……」


アリスは目を閉じていた。

涙があふれている。


「どうしたの?」

「はい。殺されたアベルは、私の恋人でした」


「え!?」

「そうだったんですか?」


俺もルリも驚いた。


「私のせいです……。私がもっと早く気付いていれば……」


アリスは涙を流す。


「私のせいなんです!」

「落ち着いて下さい」


俺は優しく声を掛ける。


「私、アベルを殺した奴らを絶対に許しません!」


アリスの目つきが変わる。


「分かりますよ」


ルリが言う。


「え?」

「私も大切な人を、殺されて失ったことがあるんで」

「そうなんですか!?」

「ええ」

「だから、私はアベルを殺したあいつらに復讐したいです!」

「私も協力しますよ」

「ありがとうございます」


ルリに一体どんな過去があったんだろう。

大切な人って?

俺はふと考えた。


「ジェイドさん?どうしました?」


アリスが俺の方を向く。


「え?あ、いや、何でもないよ」


俺は慌てて答えた。


「俺も頑張りますよ。アベルさんを殺した奴に復讐します!」


アベルを殺したのは他でもない月光隊のギリトとバジウスだ。

アベルのことがあっても無くても、復讐するに決まってる。


「ありがとうございます」


アリスは頭を下げた。


「では、契約書にサインを」


アリスは机の上に契約書を置いた。

見たことない形式だ。


「今回の仕事はプレイヤーキル。つまり、暗殺。正規のギルドの仕事ではないということを肝に銘じてください」


アリスは泣き止み、もとのしっかりした感じに戻っていた。


「分かっている」


プレイヤーキルはこの世界では禁止されている。

つまり、殺人はNCPという者達によって監視されていた。

バレればNPCに連行されどんな目に合うか分からない。

撲殺天使の初仕事は、裏ルートからの仕事だった。

裏ルートのギルド仕事は危険なだけに、報酬も多い。

まずは金が必要だった俺たちは、その仕事に手を染める。

刺殺倶楽部ともパイプが出来るのは願ったり叶ったりの展開だ。


「それと、今回だけ特別に『刺殺倶楽部』のメンバーを貸しましょう。ただし、戦闘に参加するメンバーのみ。また、こちらからは2名しか出しません」

「分かった」

「承知しました」


俺とルリは返事をする。


「それでは、よろしくお願いいたします」


アリスは笑った。



俺たちは応接室を出た。


「さあ、行こう」

「はい!」


俺とルリは武器を手に取る。


「おっと、あなたたちが今回の仕事を担当している方ですか?」


背後から声が聞こえた。


「そうです」


振り向くとそこには、白い鎧に身を包んだ女騎士がいた。

身長は高く180センチはある。

金髪で整った顔立ちをしている。

そして、胸が大きかった。


「私はレイナといいます」


レベル:25

職業:騎士

名前:レイナ・ベガ

種族:人間

年齢:16歳

体力:753(最大753)

精神力:1264(最大1264)

攻撃力:1010

素早さ:563

スキル:レイピア連撃刺突

    馬上降り下ろし剣

    上段袈裟切り

    騎士の使命


「俺はバルター」


レベル:31

職業:戦士

名前:バルター・アルフォード

種族:ドワーフ

年齢:135歳

体力:2970

精神力:556

攻撃力:2888

素早さ:140

スキル:ハンマーフォール

    斧でぶった切り

    ぐちゃぐちゃ鉄槌

    ドワーフの誇り

    武器修復


「さすが、刺殺倶楽部。強いメンバーが揃っているな」


この二人が味方になってくれるなら心強い。

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