第29話 反吐が出る程、胸糞悪い憂さ晴らしの復讐
「というわけで、アベルさん。さっきのギルドバトルの結果は無しにして欲しい訳です」
ギリトはアベルをじっと見た。
「お前ら。卑怯ですね」
月光隊のギルド部屋に呼ばれたアベルは、怒っていた。
「ああ、俺らはお前と違って汚い手を使うからな」
バジウスは笑いながら言った。
「だが、ギルドバトルの結果を覆すことは出来ませんよ。そんなことはギルド委員会が認めない」
アベルは余裕を見せつける様に笑う。
「なら、力ずくでも」
マルコは剣を構えた。
「はぁ? ふざけるな!」
「うるせぇ!お前が悪いんだよ!」
バジウスはアベルの顔面を殴りつけた。
「うっ」
アベルは殴り返せない。
正面のガラス張りの部屋には、自分の妹であるアメリアが映っている。
アメリアはアベルに気付いていない。
マジックガラスでアメリアはアベルを見ることが出来ない。
彼女はアシュリーとリザポットとお菓子を楽しそうに食べている。
自分が人質だということも知らずに。
「お前、自分の立場分かる?言うこと聞かなかったら、妹がどうなっても知らないよ」
バジウスがアベルを睨む。
立場が逆転していた。
アベルは、ガタガタ震えていた。
「ということで、ギルドバトルの勝敗は関係ない。記録として残るのであれば構わん。だが、カブの売買権を譲るという話は無しにしろ」
ギリトはアベルの顔を殴った。
「ぐふぅ!」
アベルは睨む。
「お前ら、こんな事、刺殺倶楽部にばらしたら、とんでもないことになるぞ」
アベルは必死に脅してくる。
「刺殺倶楽部ねぇ」
「あいつらにこんな事を知られたら、月光隊だって潰されるぜ」
アベルは嘲笑する。
「刺殺倶楽部って?」
マルコが尋ねる。
「アベルが頼りにしてる集団だよ」
「じゃあ、今から刺殺倶楽部の刺青を入れようか」
バジウスはナイフを取り出した。
「やめろ!」
アベルは慌ててバジウスを止めようとする。
「うるせえ!」
バジウスがアベルの腹を蹴った。
「グフゥッ……」
アベルは床に転がった。
「早く彫ってくれ」
「分かった」
マルコがアベルの服を脱がせた。
「痛てええ!!」
アベルが叫ぶ。
「黙れ!」
バジウスがアベルの顔を殴った。
「これでよし」
アベルの背中には、『うんこ』の刺青が彫られていた。
「ははは!さいこー!」
バジウスはゲラゲラ笑った。
「てめええええええ!!!」
アベルがキレて立ち上がる。
しかし、その瞬間、アベルの妹の姿が消えた。
「え?」
アベルは戸惑っている。
リザポットがガラス張りの部屋から出て来た。
「あー、ごめんね。アメリアちゃんにはちょっと眠ってもらっちゃいました」
「な、何を?」
「大丈夫。殺してはいないよ」
リザポットが笑顔で言う。
「ほらほら、言うこと聞かないと妹が一生の眠りにつくよ」
バジウスがアベルの耳元で囁く。
「……はい」
アベルは項垂れた。
こうしてアベルは、カブの売買について月光隊に口出ししないという誓約書にサインした。
「じゃ、妹を返してやるよ」
リザポットがアメリアを連れて部屋に入って来る。
アメリアはアベルを見て、駆け寄った。
「お兄様!?」
「ああ、そうだよ。アメリア、助けに来るのが遅くなってすまない」
「え?助ける?友達のリザペットと遊んでて楽しかっただけよ」
キョトンとするリザペット。
「そうか、それならいいんだ。だが、ちょっとリザペットよ、目をつぶっててくれないか」
「なんで?お兄様」
「これから残酷なショーが始まる。君にはそれを見て欲しくない」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます